大宮駅と仙台駅って、なんであんなに似ているの? 「西口の歴史」を探求してみた
埼玉・白岡出身の筆者にとって、さいたま市の大宮駅は特別な場所だった。
通学で使うため高校時代から頻繁に通いつめ、現在でも足を向けて寝られないほどお世話になっている。
最も身近な大都会。大宮駅がない生活なんて考えられない。
だからツイッターなどネット上で大宮駅にまつわる情報をよく仕入れているのだが、先日気になる投稿を見かけた。大宮駅が宮城・仙台駅と似ているというのだ。
「仙台駅前、埼玉の大宮駅にちょっと似てる(駅舎も駅周りの雰囲気も)」
「大宮駅、仙台駅に似てる」
「仙台駅の写真見る度に大宮駅かな?ってなる 結構似てるよね...!」
大宮駅と仙台駅は東北新幹線で繋がっているものの、直線距離で約280キロメートル離れている。
そんなに離れている駅同士が似ることなんてあるのかと思って調べてみると......。
埼玉県民、親近感を覚える
大宮駅と仙台駅の西口を見比べてみると、大宮は白で仙台はブラウンと駅舎の色こそ違うが、建物の上部にガラス窓、2階部分にはペデストリアンデッキがあり、その1階部分がバスやタクシー乗り場になっているところは確かに似ている。
完全に一致しているわけではない。だけど、仙台駅を見ているとなぜか大宮駅を想起し、親近感すら覚えてしまう。
なぜこのような共通点が生まれたのか。まず駅舎について調べてみた。
仙台駅西口が現在の姿になったのは、1977年のこと。新幹線部分を除いた在来線の駅として営業を開始した。そして、大宮駅西口が現在の形になったのは1982年。東北新幹線の開業に合わせて、西口の駅舎が作られた。
仙台駅のほうが先にできているのであれば、大宮駅を作る際にデザインを寄せたのではないか。
そんな仮説を立てたJタウンネット記者は2022年8月18日、JR東日本の大宮支社・仙台支社に取材を行ったが、どちらも国鉄時代の話とあって、駅舎の設計者やデザインに関する情報は得られなかった。
しかし記者は諦めずに、別の角度から調査を続けた。すると、ある事実がわかってきた。
さいたま市職員「資料の1つに...」
駅舎の次に調べたのは、ペデストリアンデッキについて。仙台駅と大宮駅が似ていると感じさせる、もう1つの要因だと考えたからだ。
仙台市青葉区役所・道路課の職員とさいたま市総務局・アーカイブズセンターの職員に話を聞いたところ、仙台駅のペデストリアンデッキが完成したのは1981年、大宮駅は88年。
ペデストリアンデッキも大宮駅より先に仙台駅ができている。この事実をさらに調べていくと、興味深い情報に行きついた。
8月18日、Jタウンネット記者の取材に答えたさいたま市都市局・大宮駅西口まちづくり事務所の職員はこう話す。
「資料の1つに、大宮駅西口のペデストリアンデッキが仙台駅などの先例を参考にしている、との記述がありました」
河北新報オンラインニュースの21年5月26日付の記事によると、仙台駅にペデストリアンデッキを設置されることになったのは、1972年に定められた新たな仙台駅舎などの整備計画によるもの。床面積9763平方メートル(現在は1万3304平方メートル)、駅に接するメインデッキが直線で256メートルもあるペデストリアンデッキの建設は前例がない大工事に。景観に配慮し、最新の技術を駆使して生み出された仙台駅前の空間を、あの司馬遼太郎も美しいと絶賛したそうだ。
大宮駅西口を設計するにあたって、当時の関係者らが「仙台駅のような駅にしたい」と考えることは、なんら不思議ではないように思える。ペデストリアンデッキだけでなく、駅舎も仙台駅を例に作った可能性も考えられるだろう。