人類が滅んだ後も残り続けそう... 100万枚のレコードを集めた施設のロマンが凄い
21世紀に生きる子供たちのために
Jタウンネット記者の取材に応じた太刀川るいさんによると、「レ・コード館」を訪れたのは、22年7月3日。
「存在自体は知っていましたが、なんとなく近くに立ち寄ったので......、ふらりとエントランスに入ったら誰もいなくて、その空間がすごいキレイだったので思わず撮影しました」(太刀川さん)
「館内の案内板に書いてあったと思うのですが、『レコードが好きな町民がいて、そのまま作ってしまった』そうです」とのこと。
そこでJタウンネット記者は、新冠町社会教育課に取材することに。新冠町教育委員会社会教育課の担当者が、質問に答えてくれた。
新冠町では「レ・コードと音楽のまちづくり」をコンセプトにまちづくりに取り組んでいる。
担当者によると、事業のきっかけになったのは町内の音楽愛好家のグループ「一枚のレコード」のこんな思いだったという。
『レコードをこのままにしておくと散逸してしまい貴重な歴史的価値のある音楽文化が間違いなく消滅する。 今、消え去ろうとしているレコードを世界的規模で集めて町づくりができたら、きっと文化の香りの高い町が造られるだろう。 それは21世紀に生きる子供たちのためにもすばらしいだろう』
音楽愛好家達の発想が生まれたのは、1989年(平成元年)ころ。竹下内閣により「ふるさと創生事業」として、全国の地方自治体に1億円が配分された時期だった。
「新冠町をレコードのメッカとする」という彼らの考えは行政により取り上げられ、「レコードと音楽のまちづくり事業」として進められることになる。91年度には国土庁の「過疎地域活性化推進モデル事業」に指定され、97年に「レ・コード館」が開館した。
「RECORDのRE(レ)には『再び』、CORD(コード)はラテン語で『心』と言う意味があります。この様な意味合いから『レ・コード』と表記し『わすれかけている大切なものに帰ろう』とか『心の記憶を呼び覚ます』というような意味を持たせています。 従って、『レ・コードと音楽によるまちづくり事業』とは、単にレコードを収集することを目的にするのではなく『人々の思い出や心』を新冠に集めようとする町づくりです」(新冠町教育委員会社会教育課の担当者)