「子育てに疲れ、気付けば池のほとりに居た私。蓮の花を見つめていると、隣にいたおばあさんに手を引かれ...」(静岡県・20代女性)
シリーズ読者投稿~あの時、あなたに出会えなければ~ 投稿者:Nさん(静岡県・20代女性)
<Nさんの体験談>
5年ほど前、当時2歳と4歳だった姉妹の子育てに悩みながら日々を送っていました。苛立つことも多く、そのせいで夫はもちろん同居する姑ともぶつかることも。
そんな初夏のある日、何かがプツンと切れてしまった私は部屋着のまま財布もスマホも持たず、1人でふらっと外に出ました。家の誰にも告げることなく......。
「あなた、何かあったの?」
どこを歩いたのかも覚えていません。気づいたら自宅から2~3キロ離れた池の縁のベンチに座って、蓮の花を見ていました。
ただただ花を呆然と見つめる私に、いつからか隣に座っていたおばあさんが声をかけてきました。
「花、きれいよね」
「はい、この時期はよく咲きますよね」
そんな他愛もない会話のあと、おばあさんに「あなた、何かあったの?」と尋ねられたので、私は子育てで悩んでいるのだと打ち明けたのです。すると、おばあさんはただこう言いました。
「大丈夫よ」
そして、「一緒に帰りましょう」と手を引いてくれたのでした。
心が折れそうになる度に...
私の2~3歩前を、黙って引っ張って歩いてくれたおばあさん。
途中、おばあさんが知り合いの方に出会うと「さっき知り合ったの」と紹介してくれて、その方にいただいた夏みかんを「はい、あなたにも」と数個わけてくれました。
その後も歩き続け、おばあさんが「じゃあ、私はここまで」と言ったのは、自宅から200メートルほどの見なれた場所。
「大丈夫、頑張ってね」――そう言い残して、おばあさんは去っていきました。
残された夏みかんを温かく感じたのは初夏のせいだったのか、私にはわかりません。
見知らぬおばあさん、あの時は本当にありがとうございました。その後、何回も心折れそうな時がありましたが、あなたの姿を胸に母として踏ん張ってきました。
そしてこの冬、姉妹に妹ができます。あなたがあの時、側にいてくれなかったら存在しない命だったかもしれません。
心の底から感謝しています。
誰かに伝えたい「あの時はありがとう」、聞かせて!
名前も知らない、どこにいるかもわからない......。そんな、あの時自分を助けてくれた・親切にしてくれた人に伝えたい「ありがとう」を心の中に秘めている、という人もいるだろう。
Jタウンネットでは読者の皆様の「『ありがとう』と伝えたいエピソード」を募集している。
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