「暗闇の中、全身びしょ濡れで川を見つめる女子高生の私。派手なネオン付きの車が、背後にバックで戻ってきて...」(広島県・30代女性)
シリーズ読者投稿~あの時、あなたに出会えなければ~ 投稿者:Gさん(広島県・30代女性)
当時高校生だったGさんはその日、バイト帰りの夜道を自転車で走っていた。
しかし、ほんの少しよそ見をした拍子に、自転車ごと水路の中に転落してしまい......。

<Gさんの体験談>
今から約20年前、地元である広島県でのお話です。当時の私は高校生で、その日はアルバイトで帰宅が遅くなり、夜道を自転車で走っておりました。
しかし、車通りの少ない道を走っていた時、ほんの少しよそ見をしたせいで自転車ごと生活用水路のような川に落ちてしまったのです。深い川でしたので、私は完全に頭まで浸かってしまいました。
ネオン管を付けた車が...
突然の事で思考が停止し、しばらく水の中におりましたが、その後なんとか這い上がりました。
しかし、自転車は水路の中です。街灯も少なく人通りもない暗闇で、私はびしょ濡れのまま呆然と川を見つめるしかなく......。
その時、一台の車が近づいてきました。若い人が好みそうな、当時流行りのネオン管を付けたような車で、車内からは音楽が漏れ聞こえていました。
その車は私の背後を通り過ぎ......そして、バックして私の所まで戻ってきたのです。

「大丈夫ですか!?」
車の中から三人の男性が降りてきて、私に近付いてきて声をかけてくださいました。
「家は近い?」
その後、私の顔を覗き込んで年下とわかったのか、彼らは「大丈夫? 落ちたん?」「ケガは?」と、口々に心配した様子で声をかけてくれました。
私が「あ...落ちた...」と言うと
「家は近い?」
「親に連絡した?」
と聞いてくださるのです。
そこで「近くもなく...遠くもないです...携帯、濡れて使えないんです...」と伝えると、一人が「俺の携帯使い!!」と、差し出してくれました。

ただ、なにしろ私はびしょ濡れだったので、男性の携帯電話を汚してしまってはいけないと、丁重に申し出をお断りしたんです。
「わかったわかった! 待ってな!」
それでも彼らは私のことを気遣ってくれて、「何かしてほしい事ある?」と。そこで私が「自転車が...」と答えると
「あ!! わかったわかった! 待ってな!」
と言って危険な水路の中に入り、藻が絡んで汚れてしまった私の自転車をすぐに引き上げてくださったんです。そのうえ「帰れる?」「一人で大丈夫?」と、最後まで私のことを心配してくださいました。

私は「あ、大丈夫です...すみません...ありがとうございます...」と呆然としたまま簡単に挨拶して、そのまま自転車に乗って帰りました。
あの時はきちんとしたお礼も言えず、連絡先を聞く余裕もなく、その場限りになってしまいました。あのお兄さん方がいてくださった間に他に人も車も通らなかった事を考えると、お兄さん方が戻ってきてくださらなかったら、私はあのまま途方に暮れてしまっていたと思います。
現在、40代か50代か...もし、あのお兄さん方に伝わるなら、心から感謝をお伝えしたいと思います。本当に、ありがとうございました。
誰かに伝えたい「あの時はありがとう」、聞かせて!
名前も知らない、どこにいるかもわからない......。そんな、あの時自分を助けてくれた・親切にしてくれた人に伝えたい「ありがとう」を心の中に秘めている、という人もいるだろう。
Jタウンネットでは読者の皆様の「『ありがとう』と伝えたいエピソード」を募集している。
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