「なんで 『たばこ』は悪いのに 、パパは作ってるの?」 禁煙の時代を生きる「葉タバコ農家」の現実と情熱
2022.05.31 11:00
約4割の葉タバコ農家が「廃作」する中で
情熱をこめて葉タバコの栽培に取り組む小久保さんと穴沢さん。しかし、葉タバコ農家を取り巻く環境は厳しい。
2021年11月、JTは全国の葉タバコ農家の約4割に当たる1729戸が2022年以降の生産をやめると発表。10年ぶりに実施された廃作希望の募集に応じた形だ。
同業者たちの多くが辞めていってしまった。そんな状況に小久保さんも穴沢さんも思うところがある。
「やっぱり同業者が辞めていくのは寂しいですね」(穴沢さん)
「作り手が多いと、新しい方法が生まれやすい。ただ、作り手が減ってしまえば、新しい方法が生まれなくなって停滞してしまう恐れを感じています」(小久保さん)
穴沢さんも小久保さんも、廃作希望の募集に「続けるかどうか、締め切りのギリギリまで悩んだ」と口をそろえる。
それでも続けたのは、設備投資をしたばかりという現実的な事情もあったというが、未来への期待もあった。
「喫煙の文化はもう数世紀にもわたって続いている。最近は禁煙の風潮が高まっている世の中ですが、そう簡単にはなくならないだろうと思っています。仮に自分が最後の葉タバコ農家になる日が来るとしても、それもカッコいいかなと。それに、JTは世界を相手にしている企業です。海外の方に吸ってもらえるかもしれないと考えれば、希望が持てますよ」(小久保さん)