SF作家も「悔しい!」 代官山で発見された「犬用の水洗トイレ」に衝撃走る
犬を飼っている人にとって非常に便利なある「装置」がツイッターで注目を集めている。
銀色のポールには犬のイラスト共に「このポールにおしっこをさせてください」と書かれたシールが貼られている。その下には丸いボタンと「押すと水が流れて洗浄します」の言葉が。
犬を散歩させるとき、多くの飼い主たちはおしっこを洗い流すための水を持ち歩いている。しかしこのポールがあればボタンを押すだけでいいのだ!
写真を投稿したのはSF小説「サーキット・スイッチャー」の著者である小説家の安野貴博さん。2022年4月18日、自身のツイッターアカウント(@takahiroanno)で
「これは昨日代官山にあって衝撃を受けた犬のおしっこ棒(水洗)」
と呟いたところ、10万以上の「いいね」が寄せられるなど話題に。画期的なアイテムには、こんな驚きの声があがっている。
「テクノロジーはこんなところまで」
「スゴイ! 犬の水洗トイレ」
「『犬くんにおしっこさせないで!』っていう張り紙よりも『するならここでね!』っていう発想の転換が目から鱗ですね」
「銀色で正体不明のSF的構造物」に近付いたら...
Jタウンネット記者の取材に応じた安野さんによると、犬のおしっこ用水洗ポールを発見したのは17日の15時ごろ。場所は東京都渋谷区にある商業施設「代官山t-site/蔦屋書店」の敷地内だ。
「その日は『SFカーニバル』というSF小説の祭典が代官山蔦屋書店で行われており、私もサイン会のために訪れていました。
その際、おしゃれな代官山t-siteの中を散歩していたとき、銀色で正体不明のSF的構造物があったので目を惹かれました。結果、SFは全く関係なく犬のおしっこ棒(水洗)でした」
「SF小説を書く自分でも『犬のためのおしっこ棒(水洗)』というのは思いつかなかったガジェットで『悔しい!』と思いました」(安野さん)
たしかにSF小説に出てきても違和感がなさそうなこのポール。一体、どういう経緯で開発されたものなのだろうか。
Jタウンネット記者はメーカーである信建工業(静岡県静岡市)に話を聞いた。
同社経営企画室室長の中村智則さんによると、ポールの製品名は「水洗おしっこポール」。2011年に日本初の犬用水洗トイレの新商品として販売を開始した。
2022年4月現在までで累計150基ほどを販売しており、公共の公園・商業施設・高速道路のサービスエリアやパーキングエリア・道の駅・ペットショップ・動物病院など、様々な場所に設置されているという。
見つからないなら自分たちで作ってしまおう
「水洗おしっこポール」の開発経緯について、記者が改めて聞いてみると
「15年ほど前、少子高齢化が進んでいる時代の中でペットがより家族化していき、その受け皿として飼い主とペット犬が共に遊んで憩う場所としての公園が必要になると考えました。そこで弊社の新たな事業として、ドッグラン向けの製品を販売することに取り組み始めました」
と中村さん。同社は全国向けに公園施設を製造・販売するメーカーというだけでなく、公園全体のデザイン提案や設計にも携わっている。ドッグラン向け製品事業もその一環で行われた。
「しかし、当時はまだドッグランも世の中に少なく、あったとしてもフェンスで囲いを作っただけのシンプルなものでした。また、ドッグラン向けの各種製品を作っているメーカーも見つかりませんでした」(中村さん)
こうした背景から、ドッグラン向けに必要とされる製品を同社で独自に開発・製造することに。
犬専用遊具やリードフックなど様々な製品を開発していく中でも、特に重要な設備だと考えていたのが「トイレ」だったという。
「人間で言えば公園や高速道路SAPAなどに必ずトイレがあるように、ドッグラン内に犬用トイレを設置することで、衛生面でも安心して利用できる環境を作り、気持ちよく休憩が出来る場を作ることは大変重要な要素と考えました。
そうして『犬が電信柱におしっこをする習性』+『人間のトイレは水洗機能が必然』という考えから、『水洗おしっこポール』を生み出しました」(中村さん)
狙いは、ペットがオシッコをした後に飼い主が水を流しやすい機能を付加させることで、常に清潔な排泄環境を保つという状況を作ること。
たしかに、いちいち水をかけて流すよりもはるかに手軽だ。また、水を持ち歩くように気を付けていても途中で足りなくなってしまったり、うっかり忘れてしまったりした時にポールがあればかなり助かる。
愛犬家の読者の皆さん、もし散歩中に「水洗おしっこポール」を見かけたら、ぜひその使い心地を試してみては?