「大学受験のためたった一人で訪れた大都会。初めて見る満員電車に立ち竦んでいると、地元の高校生が...」(岡山県・60代女性)
田舎から都会に出てきたとき、通勤通学ラッシュ時の満員電車に驚いたという人も多いだろう。
コロナ禍となってからは少なくなったが、身動きが取れないほどギュウギュウになっているなんてことも路線によっては日常茶飯事だった。
Jタウンネット読者のFさん(岡山県在住・60代女性)も40年ほど前、大学受験のために都会を訪れたとき、そんな満員電車を初めて見て顔面蒼白になってしまったのだという。
それは、試験を無事に終えた帰り道でのことだ。
こんなの絶対に乗れないと、怖気づくFさん。
そんな彼女を助けてくれたのは、試験会場で知り合った高校生の女の子だった。
電車に乗ったこともほとんどなく...
もう40年も前のことです。
田舎に住んでいてろくに電車に乗ったこともありませんでしたが、大学受験のために一人で初めての都会に行きました。
ホテルは大学まで電車で一本のところを手配し、翌日受験会場へはホテルの方にタクシーを頼んでありましたので問題なく到着。
ですが、帰りはどうにでもなると思っていて、何も考えていませんでした。
試験の後、前に座っていたおしゃれな地元の女子高生にどこに帰るのかと聞かれたので答えると、同じ方向だから駅まで一緒に行こうと誘ってくれました。
そして駅に着き、私は初めて満員電車を目にしたのです。
きっと顔面蒼白になっていたのでしょう。彼女は私を心配してか、こう言いました。
「どうする乗れる?見送ってもいいけど、多分次も同じだと思うよ」
満員電車に怯える私を...
返事に困っている私の手を、彼女はおもむろに引いて言いました。
「行くよ」
絶対無理だと思っていたのに、不思議とするするっと体が入りました。
もちろん、立ち止まった瞬間から身動きはできません。
しばらくすると彼女が「次降りるよ」と言いました。しかし、降りる扉は反対側。わたしは「えぇぇ」と驚くしかできません。
ところが彼女が「すみません、降ります」と一声かけるとあっという間に反対側への通路できたのです。
そして扉があいた途端に彼女は私だけを降ろし、「じゃあ」と。
彼女はここで降りるわけじゃないんだ、とそのとき初めて気が付きました。
結局彼女の名前も知らず、私はその大学には行かなかったので二度と会うこともなく、そのままお礼も言えないままになってしまいました。
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