「片手にベビーカー、もう片手に幼い息子。必死でバスに乗ろうとする私に、腰の曲がったおばあさんが...」(福岡県・30代女性)
赤ちゃんを抱っこしながら、大きな荷物を持ってバスに乗り込むのは、大変だ。
停車時間に限りがあるし、ドアもものすごく広いわけではない。後ろに並んでいる人がいたら、気も使ってしまう。
福岡県在住のJタウンネット読者・Uさん(30代女性)が7年前のある日、生後半年の赤ちゃんを抱くのとは反対の手で持たなければならなかったのは、ベビーカーだった。
バスに乗り込むため、一度息子をベビーカーから降ろしたUさん。抱っこひもを使おうとしたのだが、ぐずり始めてなかなかうまくいかない。
仕方なく手で抱っこすることにしたのだが、そうすると片手が常に塞がってしまう。
ベビーカーも持って、ICカードもタッチしなければならないのに......。いっぱいいっぱいになっていた彼女に声をかけてきたのは、近くでバスを待っていたおばあさんだった。
お婆さんが「かわいいね」と言ってきたけど...
今から7年ほど前の事です。私は生後6ヶ月の息子をベビーカーに乗せて市バスを待っていました。
あと5分程でバスが着きそうだったのでベビーカーから降ろし、抱っこ紐に切り替えようとしたのですが、息子は眠たかったようで泣き出してしまい、抱っこ紐に入れるのに苦戦。
「起こしちゃったね、ごめんね」と幼い息子に謝りながら、もう抱っこ紐は諦めてとりあえずベビーカーをたたみ、ICカードを手に持たなくてはと思いました。
片手に子供、もう片手にはベビーカー。
この状態でICカードを上手くタッチできるのか。でももうバスが向こうから見えてきているし急がなくては......と、その時の私はかなり焦っていたと思います。
そんな私を見て、一緒にバスを待っていた、腰の曲がった知らないお婆さんが
「かわいいね」
と声をかけてきました。
「このバス乗るんでしょ、持つよ」
彼女の言葉はとても嬉しかったのですが、その時はそれどころではなく、かろうじて「ありがとうございます」とお礼を言うのが精いっぱいでした。
しかし、そのお婆さんは続けて
「このバス乗るんでしょ、持つよ」
と言って、ベビーカーをひょいっと持ってバスの中まで運んで下さったのです。
彼女は腰も曲がっている上に小柄だったし、普段ならば私の方が「荷物を持ちますよ」と声をかけたくなるような方だったのですが、さも当然と言わんばかりにスッと手を差し伸べて下さいました。あの時は本当にありがとうございました。
夫の転勤ですぐにそこから引っ越してしまったので、あれから一度もお会いできていません。当時かなりご高齢のように見えましたが、まだお元気でしょうか。
あなたにあの時助けて頂いた分、次は私が誰かのお手伝いをして、まわりまわって貴女に返せたらいいなと思って、お役に立てそうな時は率先して声をかけるようにしています。
誰かに伝えたい「あの時はありがとう」、聞かせて!
名前も知らない、どこにいるかもわからない......。そんな、あの時自分を助けてくれた・親切にしてくれた人に伝えたい「ありがとう」を心の中に秘めている、という人もいるだろう。
Jタウンネットでは読者の皆様の「『ありがとう』と伝えたいエピソード」を募集している。
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