広島でなら、挑戦できる コロナ禍の課題解決へ...「アイデアの卵」大集結の舞台裏
いろんな人を巻き込め! パブリック評価もやっちゃえ!
「2020年秋に立ち上げたD-EGGSプロジェクトの背景には、新型コロナウイルスの影響があります。行政として経済活性へのテコ入れは課題で、そのなかでもコロナ禍を逆手に取った対策ができないか、と考えていました」
こう切り出したのは、広島県 商工労働局 イノベーション推進チーム 地域産業デジタル化推進担当課長の金田典子さんだ。
そこで掲げたテーマが「コロナ禍における課題解決」。新型コロナの影響下では、たとえばリモートワークの導入で働き方が変化するなど、新しい生活様式が生まれてきたことに着目した。
「それにともない、新しい価値観、新しい幸福感につながるアイデアを募集したのです。ただ、呼びかけた当初、先行きが不透明でしたから、対象となってくるスタートアップ企業さんは、新たな投資や事業展開に踏み切れない状況もありそうでした。参加者が集まるのか、気がかりでしたね」(金田さん)
そんな心配をよそに、ふたを開けると、スタートアップ企業を中心に400件近い応募が殺到。まずは1次選考で100件に絞り込み、次いで2次選考で本採用となる30件を選定した。
選定では、ベンチャーキャピタルのサムライインキュベート(本社:東京都港区、今回の事務局を担当)も協力した。起業家やスタートアップに出資・成長支援を行うプロの視点で、技術やアイデアの新規性・革新性、事業としての成長性などを考慮。また、金田さんたちイノベーション推進チームは、地域の課題解決につながるかに注目した。
ここでユニークなのは、1次選考の通過者は、プロジェクト計画やソリューション(製品・サービス)をプレゼンする動画を制作し、D-EGGSプロジェクトの公式サイト内で公開したことだ。一般の人からの「パブリック評価」も受け付け、「いいね!」をつけられる仕様に。その結果も、2次選考に役立てたという。
「やるからには、ワイワイとしたお祭り企画にしたい、という思いがありました。そんな刺激し合う雰囲気が、イノベーションを生む土壌になる、と私たちは考えているからです。 それを踏まえて、アイデアが具現化したときの利用者(エンドユーザー)も巻き込みたい、と参加型の仕掛けを導入。こうして2021年春、実証実験に挑戦していただく30アイデア(30団体)が決定し、半年におよぶ期間中は広島県内の市町なども協力しました」(金田さん)
イノベーション推進チームが目論んだ「人を巻き込む仕掛け」は、このあとも続く――。それが2021年秋、「24時間テレビ」さながらの疾走感で駆け抜けた、実証実験の「成果発表」イベントだ。
「ひろしまサンドボックス」のYouTubeチャンネルでライブ配信されたその番組「D-EGGS LIVE TV」が、どんな「お祭り騒ぎ」だったのか、見ていこう。