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広島でなら、挑戦できる コロナ禍の課題解決へ...「アイデアの卵」大集結の舞台裏

Jタウンネット編集部

Jタウンネット編集部

2022.01.28 16:00
提供元:広島県

アイデアの卵は、粘り強くやってこそ孵化する

「あしらせ」の場合、実証実験で視聴覚障がいのある方の協力も得ることで、プロダクトの完成度を高めていった(なお、現在も商品開発が続いている)。

だが、これには裏話があって、当初はなかなか協力者が見つからなかったのだ......。

そこで、相談を受けたイノベーション推進チームの平河直也さんが、特別支援学校への仲介を担うなど協力した。実証実験中も縁あって、平河さんが同行する機会があった。同社の地道な取り組み方には驚いたという。

平河さん「広島発でイノベーションを起こせるよう、関係者の心を動かせるよう、今後もさまざまな仕掛けを考えたい」
平河さん「広島発でイノベーションを起こせるよう、関係者の心を動かせるよう、今後もさまざまな仕掛けを考えたい」
「実証実験では、計30人の協力者に対して、一人ひとりに事前インタビュー→歩行実証→事後インタビューの流れでおこなっていました。
歩行実証は街中を約1時間かけて一緒に歩きながら、デバイスの反応をこまめに聞き取る。それから、歩行実証前後のインタビューは、合計2時間。ふだんの困り事やデバイスの細かな使用感について、聞き上手な代表の千野さんはひたすら熱心に耳を傾けていた。そこが印象的でした」(平河さん)

そんな地道な取り組み方が、「サンドボックス賞」にもつながった。それはまさに「ひろしまサンドボックス」のコンセプト――失敗を繰り返しながら、よりよいもの、イノベーションを生み出していく姿勢にほかならない。

「ユーザーに使用感を聞く。それを研究開発にフィードバックする。その繰り返しで完成度を高めている。先端技術を扱っているのに、やっていることはけっこう泥臭い。一連の実証実験は大変なはずなのに、代表の千野さんは明るく熱心だったと聞きました。
少し話はそれますが、今回、呉高専の学生が一人、インターンとしてプロジェクトに参加してくれました。その子は千野さんの人柄に触れ、そうとう影響を受けたのだそうです。
そんなふうに、県内の若い子が実体験を通じて、『自分もそうなりたい』『起業してみたい』というマインドが育つきっかけになったとしたら、それも広島県にとっての財産になったのかなと思います」(金田さん)
番組での「サンドボックス賞」贈呈の様子(プレスリリースから)。左から、金田さん、Ashirase代表の千野さん、レポーターを務めた中島さん
番組での「サンドボックス賞」贈呈の様子(プレスリリースから)。左から、金田さん、Ashirase代表の千野さん、レポーターを務めた中島さん

もちろんそれだけでなく、革新的な「あしらせ」の技術、今後の応用の可能性にも期待を寄せている。

「これからの商品・サービス開発では、ユーザーが接するUI(ユーザーインターフェイス)/UX(ユーザーエクスペリエンス)がカギだと言われています。
ふだん人は、目や耳などから情報を得ていますが、このプロダクトが着目した『足』で直観的に情報をキャッチできることは、新しいインターフェイスのひとつになる可能性を秘めています。
ですので、今回は視覚障がいのある方向けの提案でしたが、考え方によっては違う活用の仕方もありそうでワクワクしています」(金田さん)
強いリーダーシップを発揮する湯崎知事(中央)のもと、「チーム広島」一丸となって取り組んだ
強いリーダーシップを発揮する湯崎知事(中央)のもと、「チーム広島」一丸となって取り組んだ

D-EGGSプロジェクト全体の成果としては、30のうち15はテストマーケティングも含めた、サービスインが実現するうれしい状況となった。また、実証実験の成果を携えて、さらなるスケールアップを目指したいという声も届いている。

それだけに、今後に向けて金田さんたち行政側も、これまで以上に「場」を整えたい考えだ。

「現在、現行制度の問題などから、実証実験がかなわないケースがあります。そこで、行政でできるところはクリアして、より自由に次のステップに進めたり、これまでできなかったことを試したりできるフィールドを提供したいと考えています。
そうすることで、ユニークな技術や知見、マインドを持つ県外企業と、県内企業によるシナジーの発揮にも期待してます。広島発のスタートアップ企業が続々と生まれる、そんな土壌を築きたいですね」(金田さん)

広島がチャレンジングな場所であるために――。お祭りを盛り上げようと、足場の確かな「やぐら」を組み上げる人たちもまた、広島を支える活力となっている。


(※)なお、「広島県知事賞」と「サムライインキュベート賞」の受賞者は以下の通り。

●広島県知事賞:エイトノット(本社:大阪府堺市)

広島県大崎上島町で、自律航行小型EV船(電気推進船)による「日用品のオンデマンド搬送と不用品の搬出」の実証実験をおこなった。EVロボティックボートの開発、オンデマンド型水上交通システムの開発を手掛けるスタートアップ。

湯崎英彦広島県知事のコメント(番組での発言を要約)「実証実験が始まる直前に会社をつくるとともに、ここまでもってきたスピード感に驚きました。市長、町民の皆さん、そして商船高専の関係者を巻き込んで、みんなでソリューションをつくったところがすばらしい。(実証実験では、大崎上島から隣島の生野島へ自律航行船を運航させて、商品を運搬したが)、本来、フェリーでの行き来はけっこう大変。自動的に日用品を送ってくれたら、暮らしやすくなると思う。(今回の実証実験で)住民のみなさんにも利便性を感じていただけたのでは」

●サムライインキュベート賞:Yper(本社:東京都渋谷区)

自動配送ロボットを活用して、離れた場所に設置したボックス間配送の完全自動化の実現を目指す実証実験をおこなった。自動配送ロボットによる無人の物流インフラの構築を手掛けるスタートアップ。

サムライインキュベート代表取締役 榊原健太郎さんのコメント(番組での発言を要約)「(受賞の)理由はたくさんありますが、実証地だった北広島町の関係者もDX(デジタルトランスフォーメーション)に向けて熱意を持って取り組んでいた。Yperさんのような日本の中でもいちばんハードルの高い事業への挑戦に対し、町民の理解も得て進めていたところ。また、北広島町だけでなく、ここでの取り組みが日本全国のためになればいい、というマインドがすばらしかった。Yperさんだけでなく、北広島町みなさんの賞です!」

<企画編集・Jタウンネット>

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