「小学生の頃の文通相手は、電車で出会ったおばあさん。ある年から年賀状が来なくなり、調べてみると...」(神奈川県・40代男性)
あなたの心の中に、「今でも忘れられない人」はいるだろうか。
ありがとうと言いたかったのに言えなかった。ごめんなさいと言えずに後悔している。
今はどこにいるかわからない。好きだった音楽を聴くと思い出す。
ひょんなことから仲良くなったのに、もう会えない。
神奈川県在住のJタウンネット読者・Nさん(仮名、40代男性)から、小学生の頃に仲良くなったという、年配の女性との思い出が届いた。
たまたま同じ山へ登ったことをきっかけに連絡先を交換し、文通が始まった2人。しかし、Nさんが中学生になったある年、彼女からの年賀状が突然来なくなってしまった......。
同じ山へいっしょに登り
小学生の頃は東京に住んでいて、祖父がいた大阪へ泊まりに行くのが夏休み最大の楽しみでした。
けれど、いつもいろいろな場所へ連れていってくれていた祖父も足腰が弱くなり、一緒に行けなくなってしまったので、甲子園や京都などへ1人で行くようになりました。
ある年、以前よくキャンプに連れていってもらった山へ向かう電車の中で、年配の女性に話しかけられました。私は人見知りだったのでその人の質問にただ答えるだけでしたが、「1人なの?すごいね」「どこまで行くの?」などと話しかけられているうちに、おばあさんも同じ山に行くということがわかり、一緒に行くことになりました。
後日わかったのですが、おばあさんは若い頃、毎年のようにその山のお寺へお参りに行っていたものの、しばらく行ってなかったそうです。数年ぶりに行くことを思い立ったのが、あの日だったといいます。
山へ行った後、連絡先を交換し、数日後にはおばあさんが自分で染めたというスカーフと一緒に手紙が送られてきました。そこから、なんとなく文通が始まりました。
「のど自慢大会に出て放送されるから見てみて」とか、「あの後どこそこに行って良かったから、あなたも大きくなったら行ってみてね」とか、おばあさんの近況が書いてありました。その人が掲載された地域新聞の記事のコピーが添えられていたことも。
スカーフは、私よりも母に送ってくれたんでしょうね。母は気に入ったようで、使っていました。
それからも数ヶ月おきくらいに手紙をやり取りしていたのは、今思えば、奇妙なこそばゆいような感じがします。
中学生になっても文通は続いていたのですが、ある年、年賀状が来なくなりました。
どうしたのかと心配になり、なぜ自分がそうしたのかはわかりませんが、以前にあの女性が掲載されたことがあった地域新聞を見てみようと思いつきました。
最後に受け取った手紙の消印から数日後の訃報欄に、あの人の名前を見つけました。
祖母が亡くなったことのように悲しく、泣いたことを覚えています。
今でも忘れられない人はいますか?
今でも忘れられない、あの人の思い出。もう会えないとわかってはいるけれど、だからこそいつまでも記憶に残ることがある。
読者の皆様にとっての、そんな「忘れられないあの人」の話をJタウンネット編集部に聞かせてほしい。
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