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このイカ、何でできてると思う? 魚を一切使わない「ヴィーガン寿司」が、思ってたよりかなり旨かった件

大久保 歩

大久保 歩

2021.12.31 06:00
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「ヴィーガン」という言葉を、あちこちで耳にする今日このごろ。しかし記者は、実際にヴィーガン向けのメニュー(動物性食材を使用していない料理)をほとんど食べたことがない。

例えば「肉」の代わりに「大豆ミート」を使ったメニュー。いろんなところに売っていて、結構手軽に購入できるのだが......なんとなく、「本物」に似せてはいるが何か違う、というイメージが拭えなかったのだ。

しかしそんな先入観は、「ヴィーガン寿司」を口にした日、綺麗さっぱりなくなった。

魚も貝も不使用!(写真は編集部撮影。以下同)

2021年12月16日、Jタウンネット記者はヴィーガン向けの「動物性食品を一切使わない寿司」を試食する機会を得た。

写真に映っているネタには、動物性食品が全く使われていない。かつ、米も含めてグルテンフリーでもある。

手前左から「イカ」「アワビ」「トロ」、真ん中あたりにあるのが「イクラ」と「バッテラ」、右上の小皿にのっているのが、人参と大根の「肉巻き」を模したもの。左上はガリである。

どうだろう、このビジュアル。これを見て「ヴィーガン寿司」だと思う人はいないのでは?

イカとイクラの衝撃

中でも記者をうならせたのが、イカだ。

意外な材料から作られたイカ。ネタとシャリの間に大葉が挟まれている

これももちろん、本物のイカではなくある植物性食品から作られているのだが......何だかおわかりだろうか。

なんと......ナタデココである。

実際に食べてみると、このコリコリした絶妙な歯ごたえは、まさにイカ。大葉も良いアクセントになっている。言われなければまず気づかないだろう。

さらに、イクラにも度肝を抜かれた。

この光沢......本物にしか見えない

これは、「みずたまご」という食材を昆布のエキスで味付けしたものを使用している。

「みずたまご」とはアルギン酸ナトリウムなどを用いて液体をゼラチン質で覆った食材で、プチッとした食感の粒に好きな味を付けられるのが特徴。

イクラ(風)寿司を食べてみると、その食感といい噛んだ瞬間に口に広がる風味といい、完全にイクラそのものだった。むしろイクラに時々感じる生臭さもないので、こちらの方が好き、という人もいるかもしれない。

また、通常の寿司ではあまりしないアレンジも。

「トマトロ」+削った山わさび+マヨネーズのアレンジ

これは、こんにゃく粉とトマトを配合し、マグロの鉄分と酸味を表現した「トマトロ」の寿司。

山わさび(ホースラディッシュ)をチーズのように削ってかけ、さらにマヨネーズを絞った一品だ。このマヨネーズも、大豆を活用した植物性のもの。

野菜に付けるのと同じ感覚で、実は植物性食材のネタにはマヨネーズがよく合うのだという。

実際に食べたY編集長によると、「山わさびの爽やかな風味とマヨネーズの相性が良い」とのことだ。

似せるだけでなく、別物としてもおいしく

肉巻きは甘味のある味付けが特徴的だった。味がよくしみこんでいて、白飯にもよく合いそうである。周りに巻かれた昆布が良いアクセントになったバッテラと、貝のリアルな食感が再現されたあわびも、くり返し食べたくなるおいしさ。

味も食感もバラバラなこれらの「肉巻き」「バッテラ」「あわび」には、実は同じ食材が使われている。それが、「おからこんにゃく」。青森県出身の料理研究家・岡田哲子さんが考案した食材だ。

ナタデココ、みずたまご、おからこんにゃく......そんな植物性の素材を活用して「ヴィーガン寿司」を作ってくれたのは、細谷智子さん。自社農場の大豆から豆乳などを製造するナチュラルファーマーズ(秋田県大館市)で、顧問を務めている。

植物性食材で作った海鮮丼(写真は細谷さん提供)

細谷さんは、ヴィーガン寿司の可能性についてこう話した。

「海外から来られた外国人観光客で、ヴィーガンの方もこのお寿司なら喜んでくれると思います。写真を撮ってSNSにアップする...ということもありそうですよね」
「ヴィーガン寿司の需要は非常にコアだと思いますが、ヴィーガンの方でもお寿司を楽しめるというのはもちろん、成人病の予防や環境保全にもつながると考えています」

なお細谷さんは、おからとこんにゃく粉を配合し、まるで肉のような食感を実現した「OKミート」を開発するなど、ヴィーガンフードの可能性を探求し続けている。

「私は、ヴィーガンの食材で本物に寄せるのも良いですが、まったく別物として楽しむのも良いと思っています」(細谷さん)

ヴィーガンフードの「進化」に期待が高まる!

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