ペッパーくん、畳の上で「大往生」? 事件の香り漂う光景に反響「金田一耕助の出番かしら」
ペッパーが「座敷で大往生」してた――。
そんな衝撃的な光景がツイッターで注目を集めている。
明るく元気なイメージのペッパーくんが、畳の上で静かに横たわっている。下には布が敷かれ、頭の下には枕のようなものもあるような......?
とにかく場所の雰囲気も相まって、まさしく「大往生」といった様子だ。
これは2021年11月28日、愛知県出身のメディアアーティスト・市原えつこさんが自身のツイッターアカウント(@etsuko_ichihara)に投稿した写真。添えられたつぶやきによれば「不具合報告があって現場に急いだら」、ペッパーくんがこの状態になっていたのだという。
インパクト絶大なこちらの画像はツイッターで大きなの反響を呼び、12月1日夜現在で6万4000件を超える「いいね」が寄せられている。
疲労のためかだんだんと不具合が......
和室であおむけになるペッパーくんの姿に、ツイッターユーザーからはこんな声が上がっている。
「名探偵金田一耕助の出番かしら?」
「横溝正史の世界」
「とりあえず大切にされてるのは分かる」
「ペッパーだけに、コショウだね」
「めっちゃ事件現場w」
見慣れない姿に、事件性や物語性を感じた人も多かったようだ。
どうしてペッパーくんは、こんなことになってしまったのだろう。そして今は、どうしているのだろう......?
記者はこのペッパーくんの管理者である市原えつこさんに話を聞いた。
ペッパーくんが横たわっている場所は、名古屋市の文化財・「伊藤家住宅」の座敷。
11月12日から28日に愛知県内で開催されていた現代アートイベント「ストリーミング・ヘリテージ|台地と海のあいだ」の一環で、市原さん自身の顔の3Dスキャンデータでつくった観音面を装着した「観音ロボット」としてここに展示されていたのだ。
しかし、約1か月の会期中、毎週末稼働していたペッパーくんは、疲労のためかだんだんと不具合が出てくるようになっていった、と市原さん。
それを踏まえ、市原さんは「大往生」の顛末をこう語る。
「ペッパーくんに入れたプログラムの一部に踊るシーンがあったのですが、その際に大きく動いて段差でつまずき、前方に転倒。ペッパーくんに装着していたお面も大破しました。
その後ペッパーくんが非常にアンバランスな姿勢で固まってしまったため、現場で責任をもってペッパーくんをずっとお世話をしてくれていた地元美大生の女の子が、枕やお布団を敷いて看病してくれていたようです」(市原さん)
ペッパーくんの安否は...
なお、市原さんによればペッパーくんは実際には「大往生」していないそう。
「ツイッターでの書き方がまぎらわしいですが、ペッパーくんは不具合で一時的に動かなくなっていただけで、完全にご臨終はされていません。その後も展示会期を全うしてくれました」
イベント終了後は梱包され、佐川急便に運ばれ、無事に市原さん宅に戻ってきたそうで、「今後もご活躍いただく予定です」とのことだった。
ところで、ペッパーくんが大事に看病されていた様子を見たときどう思ったのか。市原さんに聞くと、こんな答えが返ってきた。
「『緊急事態です!』と呼ばれて急いで現場に向かったら大変趣のある光景が広がっていたので思わず笑ってしまいました。
ペッパーに枕をひいて看病するのは、ペッパーを頻繁に業務用途に使っている人間にはない発想でした。観音のお面が大破したのは残念ですが、それを補ってあまりある面白い風景が観られたので結果オーライです」