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「クッキーと名乗るビスケット」を取り締まる組織があるらしい ネット注目の噂、「事務局」に真相を聞いた

大久保 歩

大久保 歩

2021.10.21 19:04
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「ビスケットとクッキーの違いは?」

そう聞かれたら、あなたは正確に答えられるだろうか。

大手食品メーカー・日清食品(新宿区)の公式サイトでは、「よくあるご質問」として次のように説明されている。

「ビスケットは広義で『焼き菓子』全般のことを意味し、狭義では主にココナッツサブレのようなハードビスケットのことを指します。
クッキーはビスケットのうち『手作り風の外観をもつもので、原材料の中の糖分と脂肪分の合計が40%以上含まれているもの』と、全国ビスケット公正取引協議会による公正競争規約の中で定められております」

「よくあるご質問」に取り上げられるとは、両者の違いが気になる人は思いのほか多いようだ。

さて、ここに登場する「全国ビスケット公正取引協議会」が2021年10月、ツイッターで注目を集めている。

なんでも「本来『ビスケット』なのに『クッキー』を名乗るお菓子を取り締まる組織」だと噂されているのだが......本当だろうか?

気になったJタウンネット記者は19日、全国ビスケット公正取引協議会に電話で話を聞くことにした。

「取り締まってはいません」

「クッキー」の定義は意外に厳しい(画像は「いらすとや」より)

取材に応じたのは、同会の事務局次長。ビスケット業界の調和と発展を図ることを目的として設立された「全国ビスケット協会」の事務局長も兼任している。

「クッキーを名乗るビスケットを取り締まっているというのは本当か」と尋ねると、苦笑いされてしまった。

「取り締まってはいません。それをするのは、あえて言えば消費者庁の役割ですから」(事務局次長)

全国ビスケット公正取引協議会は「ブルボン」「森永製菓」「江崎グリコ」......などおなじみな菓子メーカーの他、日本洋菓子協会連合会など35社で組織されている。 その目的は、同会が申請し、公正取引委員会・消費者庁が認定した「ビスケット類の表示に関する公正競争規約」を会員で遵守し、適正な表示の商品を流通させることだ。

重要なのは「糖分」と「脂肪分」(画像は「いらすとや」より)

同会は、これらの企業が製造した、「クッキー」と名乗る菓子が、先述した「手作り風の外観をもつもので、原材料の中の糖分と脂肪分の合計が40%以上含まれているもの」という基準にきちんと当てはまるかをチェックしているのだ。万が一、基準に満たないものがあれば指導も行う。

「もちろん、会員はいずれもしっかり表示規約を守っています」(事務局次長)

また、非会員から商品名に関して相談を受けることもある。特に多いのが、開発中の商品について「この商品名は表示規約に照らし問題ないか」という質問だという。

これらの活動によって、実は「クッキー」の定義には当てはまらないビスケットが、「クッキー」の名前で消費者の手に渡ることのないようにしているのだ。

でも......。みなさんは疑問に思わないだろうか。

そもそも、なぜ「クッキー」の基準をそこまで厳密に決める必要があるの......? おいしければどっちだってよくない?

「クッキー」は高級品というイメージがあった

その答えを知るためには、高度成長期の頃まで遡る必要がある。

1967年ごろ、消費者や菓子業界で、バターを含まないのに「バタービスケット」とするなどの不当表示がしばしば問題になり、行政指導により表示規約が設定された。

その際、消費者団体が、「『クッキー』は糖分や脂肪分が多く含まれ、高級品という認識があるため、ビスケットの内訳として区分してほしい」と求め、71年に「ビスケット類の表示に関する公正競争規約」が初めて告示されたのである。

これ以降、時代の変化にあわせて何度も改訂を重ねており、最新版は、2020年2月に認定・告示されたものだ。

戦後、「クッキー」は特に貴重だった(画像はイメージ)

現代日本では簡単に手に入るクッキー。

その名前が持つ意味を知ると、より高級に感じられるかもしれない。

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