「密」なハダカデバネズミたちを完全再現! 上野動物園のぬいぐるみがシュールすぎる件
「密集するハダカデバネズミを再現してみました!!」
そんな一言といっしょに紹介された、「ハダカデバネズミ」のぬいぐるみがツイッターで注目を集めた。
こちらは、上野動物園(台東区)の公式ツイッターが2021年7月15日に投稿した写真。
同園オリジナルの「ぬいぐるみ ハダカデバネズミ」(1個935円、税込)とのこと。
1個ずつ販売されている商品を透明のケースにたくさん入れ、密集する様子を再現したそうだ。
このちょっとシュールな投稿に、リプライ欄では
「色んな意味でスゴいですね」
「1匹では雰囲気出ないですよね。何匹買えばいいかな?」
「家に2匹います かわいい」
「こ、怖い...」
「ちっともキモくないwいっぱい欲しい」
など、さまざまな声が。
Jタウンネット記者は17日、上野動物園に詳しい話を聞いた。
ぬいぐるみは本物よりビッグサイズ
都立動物園・水族館の公式サイト「東京ズーネット」によると、ハダカデバネズミとは地下にトンネル状の巣穴を掘り、群れで生活しているネズミで、地上に出てくることはほとんどない。
わずかな体毛やしわしわの体などの特徴は、地下生活に適応した結果だと考えられるとのこと。
取材に応じた、上野動物園の事業課・教育普及課の職員は、彼らが密集する性質について次のように説明した。
「ハダカデバネズミは哺乳類の中では珍しく女王を中心とした社会性を営む動物で、地中で生活し、体温調整機能をもたない変温動物でもあります。
冷えてくると密集し、お互いの体温で温めあう性質があり、とくに体が小さく冷えやすい子供を温めるために群れのメンバーの一部が『ふとん係』となって密集する姿が観察されます」
この「ふとん係」については、以前にJタウンネットでも紹介した。
ハダカデバネズミの群れにはヒエラルキーがあり、頂点に君臨するのは、群れに一匹だけの「女王」。その下に複数の「王様」や「兵隊」、そしてたくさんの「働きネズミ」たちが存在する。
普段は穴を掘ったり掃除をしたり、食料を集めたりする働きネズミたちの一部は、子供の養育機関になると一時的に「ふとん係」の仕事をするようになる。さながら「肉のふとん」として何匹も積み重なり、もぞもぞ動きながら子どもたちを保温するのだ。
ただ、今回、上野動物園で再現したのはこの「ふとん係」とは限らないとのことだった。
そもそも、どうして「ハダカデバネズミ」?
そもそも、なぜハダカデバネズミをぬいぐるみにしたのだろう? パンダやホッキョクグマ、ライオンなどの人気者たちに比べると、ややマイナーにも思えるが......。
「ジャイアントパンダやホッキョクグマ、ペンギン、といったメジャーな動物だけでなく、さまざまな動物をご覧になったお客様が『面白かった、楽しかった』という思い出を
『形(商品)』にしてお持ち帰りいただき、知って、興味を持っていただくことも
動物園の中のショップの役割だと考えています」(事業課・教育普及課職員)
さらに、ハダカデバネズミが展示されている「小獣館」の近くにあるギフトショップでは、ハダカデバネズミのグッズについての問い合わせが、毎月必ず数件あったという。
そこで、既製品のボールチェーン付のマスコットを販売したところ、来園者からの反応も好評だった。
その結果、商品開発係と店舗スタッフとのミーティングでマスコットのオリジナル化が検討され、ぬいぐるみの制作が決定。6月に新発売された。
ちなみに、本物のハダカデバネズミは全長7~11センチメートルなのに対して、ぬいぐるみは全長約16センチ、横幅約5.5センチと、本物よりやや大きめに作られているそうだ。
「飼育担当者と打ち合わせを重ね、『ハダカデバネズミ』の特徴をできるだけ表現することを意識しました。
最大の特徴は門歯の後ろ側で口が閉じるようになっていること、言い換えると上唇と下唇を突き破って門歯が生えているように見えるところです。
これを表現するため、想定より顔のサイズが少しだけ大きくなってしまったため、バランスを取るために全体もちょっとだけ大きくなってしまいました」(事業課・教育普及課職員)
再現度にこだわった結果、実物よりビッグサイズで誕生した「ハダカデバネズミ」ぬいぐるみは、公式の通信販売サイト「Tokyo Zoo Shop」でも購入できる。
たくさん集めて、密集し子どもを温めるハダカデバネズミたちを、お家で再現してみるのはどうだろう?