「横断歩道の前でパニックになり、泣き出してしまった。そんな私に、1人の男子高校生が...」(福岡県・性別不明40代)
まだ小さな子どもにとっては、道路を走る車というのはとても大きくて速くて怖いものに感じるだろう。
ましてや、そんな「怖いもの」が何台も行き交う横断歩道の近くで、一人取り残されるようなことがあれば、とても心細いに違いない。
そんな時、近くにいた親切な大人が安全な場所まで連れて行ってくれたら......。
Jタウンネットでは、皆さんの思い出に残っている「『ありがとう』と伝えたいエピソード」を募集中。
すると、福岡県の40代K村さん(仮名)から、まさにそんなエピソードが寄せられた。
それは、40年ほど前のこと。
幼いK村さんはその日、母親と親戚と共に買い物に行っていた。
大きな横断歩道で信号待ちをしていたのだが、K村さんはショーウィンドウに飾られたマネキンやドレスに見とれ、夢中に。
「大海原に一人取り残されたような恐怖でした」
「ふと気付くと、いつの間にか隣にいたはずの母はいなくなっていて、目の前の横断歩道にはたくさんの車が行き交っていました」(K村さん)
どうやらK村さんの母は我が子が付いてきていないことに気付かず、横断歩道を渡って先に行ってしまったようだ。
「小さかった私にとって、その光景は大海原に一人取り残されたような恐怖でした。突然の恐怖にパニックになった私は、その場から一歩も動けずに泣くばかりでした」(K村さん)
母とはぐれ、横断歩道で途方に暮れていたK村さん。すると、近くにいた学生服を着たお兄さんが声をかけてくれたという。
「私は幼いながらに、母を見失ってしまったことを一生懸命に伝えました。
するとお兄さんは、『わかった。お兄ちゃんがお母さんを見つけてあげるからね』と言って、私の手を引いて横断歩道を渡り、人混みの中を一緒に歩いてくれました。
しかし体の小さかった私の目の前に見えるものは、人混みの中の大きな大人の足やお尻ばかりです。するとお兄さんは、『よし、肩車をしてあげるから、上からお母さんを探すんだよ』と言って、ヒョイっと私を肩車してくれました」(K村さん)
その時にお兄さんの肩から見た人混みの光景は、今でもK村さんの記憶にしっかりと残っているそうだ。かれこれ40年ほども前の出来事だというのだから、よほど忘れられない体験だったのだろう。
「お兄さんの肩に乗って一生懸命に母の顔を探しているうちに、いつの間にか交番に到着していました。そこで母と再会できたのです。
後に聞くと、お兄さんは迷子になった場所の近くにある高校の学生さんであったとのことでした。当時3~5歳だった私が現在46歳ですから、当時のお兄さんは60歳前後。本当に優しくて誠実なお兄さんでした」(K村さん)
K村さんは今でも、その時のお兄さんのことを思い出すたびに、心の中で「ありがとうございました」と伝えているという。
「その時から時代は変わり、今では同じような場面に出くわしても、同じような対応をするのはなかなか難しいかもしれません。
あたたかい思い出として私の心に残っています」(K村さん)
誰かに伝えたい「あの時はありがとう」、聞かせて!
名前も知らない、どこにいるかもわからない......。そんな、あの時自分を助けてくれた・親切にしてくれた人に伝えたい「ありがとう」を心の中に秘めている、という人もいるだろう。
そこでJタウンネットでは読者の皆様の「『ありがとう』と伝えたいエピソード」を募集したい。
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