デジタル空間でカープ開幕戦! コロナ禍だからこそ...広島県が挑む「つながり」を生む仕掛け
2021.05.07 17:00
提供元:広島県
コロナ禍で現地観戦の機会が減って...
バーチャルワールド広島のような仮想空間を活用したスポーツ観戦やイベント開催はいま、注目を集めつつある手法だ。
そんなトレンドをいち早くとらえた今回のプロジェクトは、広島県スポーツ推進課の呼びかけから始まった。担当者の林智子さんは、取り組みの背景について次のように説明する。
「新型コロナウイルスの影響を受けた20年、プロスポーツは再開したものの、プロ野球やJリーグは開幕がずれ込み、当初は無観客試合でした。その後も入場者数に制限があるなど、安定したイベント開催のみならず、チーム運営にも影響が出てしまいました」(林さん)
こうした状況下でとくに課題だと感じたのは、スポーツが好きな県民、ファンたちが入場制限や感染リスクがあることから、現地観戦がしにくくなってしまったことだ。林さんは「人と人との交流、つながる機会が減ってしまって......」と肩を落とす。
「そこでぜひ、交流を生み出せるような場があったらいいな、と。また、スポーツの応援に新たな仕組みを取り入れて、チームの新たな収入源にもなればと期待しました。そこで、先端技術を駆使して課題解決をめざす『ひろしまサンドボックス』とも連携して、解決策のアイデア、事業者を募ったのです」(林さん)
プレゼンテーションやその審査などを経て20年11月、バーチャルワールド広島コンソーシアムとして本格的に始動する。代表企業は、広島テレビ放送。参加企業は、EAD(エード)、エネルギア・コミュニケーションズ、博報堂DYメディアパートナーズ、ビーライズ。
どうしてテレビ局が、デジタル空間の利活用に着目したのだろうか。広島テレビ放送の佐藤晃司さん(DX事業推進室)は、その事情を次のように話す。
「公募の呼びかけと前後して、社内で新たにデジタル・トランスフォーメーション(DX)に取り組む部署が立ち上がりました。私たちのミッションは、県民のみなさんにデジタル活用の効果――生活がよりよくなるのを実感してもらうこと。そのための仕掛けとして、このプロジェクトはぴったり。なんとしてでもやりたい、とプレゼンには全力を傾けました」(佐藤さん)
コンソーシアムとして協働する企業は、佐藤さんが声をかけていった。
「私は過去に何度か、『ひろしまサンドボックス』のプロジェクトに携わった経験があります。おかげで、県内企業の事業内容に詳しく、すでに関係を築けていた会社もありました。
そのため、企画を練っていたときから、どの会社と組めそうか、どの会社の知見が必要か、それらを組み合わせたらどうか――と考えることができ、進行もスムーズでした」(佐藤さん)
今年で4年目に突入した「ひろしまサンドボックス」を通じて、主として県内企業と横のつながりができたことは、いくつかの企業を巻き込んだ事業展開を進めるうえで財産となっている。