遠くにいても「リアル」がわかる 「VR空き家内覧」で移住希望者にアピール...人口減に悩む江田島の挑戦
2021.04.02 12:00
提供元:広島県
遠隔地でも江田島がわかる「どこでもかんたんVR」
こうしたプロセスを経て、20年11月にいよいよ「six brain」を通じて、候補となる企業15社ほどが挙がった。このなかから、あらためて課題と照らし合わせて絞り込み、本採用前にはトライアルなども行い、21年1月に協働する企業が決まる。
その企業が、VRサービスを手掛けるスペースリー社だった。
同社の360度VRコンテンツ制作のクラウドソフト「スペースリー」を利用すると、遠隔地にいても、ウェブブラウザ上のVR空間で室内の様子がわかる。
コンセプトは「どこでもかんたんVR」。
いま、不動産やハウスメーカーを中心に取り入れる事業者が増えつつあり、この「VR内覧」の手法はトレンドでもある。
VRコンテンツをつくるのは簡単だ。スマートフォンの専用アプリから、不動産物件の室内外を撮影するとクラウド上に画像がアップされ、ウェブブラウザで再生可能なパノラマVRコンテンツとして瞬時に生成される。このときに必須となるのは物件の撮影で、江田島市では前出の市職員・千葉さんが担当することになった。
「トライアルでも使ってみましたが、パソコンやデジタルに詳しいわけではない自分でも、簡単に扱えてびっくりしました。
スペースリーとの協働が決まったあと、サポートしてくださったのが福岡営業所長の藤原基己さんです。当初はオンラインでのレクチャーが中心で、画面共有をしながら教えてくれました。
物件撮影が始まると、現地にも来てくださって、撮影の仕方でサポートしてくれました」(千葉さん)
3月某日――。千葉さんの物件撮影に記者も同行すると、スペースリーの藤原さんが「導線が見えるように、撮影するとわかりやすいですよ」「電気をつけられるようでしたら、つけて明るくしたほうがきれいに映ります」「撮影のポイントは、つながりよく、です。カメラは、部屋の中央ではなく、隅に置いたほうが全体を広く撮影できます」とアドバイスを送っていた。システム導入後のフォローを大切にしているという。
「利用の仕方としては、お客さんが物件を探す際、最初に『VR内覧』をして、そのあと現地でしかわからない、室内のにおい、光の入り方、音を含めた周囲の環境確認に行かれることが多いです。
同様に、遠方から移住先を探す人にとっても、いきなり現地を訪問しなくても、ブラウザ上で閲覧するだけで現地の『空気感』を感じてもらえるのではないかと思います」(藤原さん)