「ヘンテコ深海魚」に「スマホ型の硯」... 現役アイドルと体験する、知られざる「半島」の魅力
コロナ禍で川村さんが実感した「不安」
実は、この深海魚直送便はコロナ禍で観光客が減少してしまった伊豆半島の戸田の青山さんが、その窮地を打開するためにスタートした企画。
コロナ禍で大きな影響を受けたのは、アイドルの二人も例外ではないだろう。二人はこの直送便のように、何かコロナ禍をきっかけにはじめたことはあるのか、聞いた。
「決まっていたスケジュールが全部なくなったことで急に仕事ができなくなるってこんなに不安なんだって実感した」
と話す川村さんは、なかなか直接会うことができなくなってしまったファンに向けて個人のインスタグラムを開設したという。
「応援してくださる皆さんに、どんな写真なら喜んでもらえるかなと考えながら、楽しんでもらえたり、元気になってもらえるような写真を投稿しています」(川村さん)
鍛治島さんも、撮影機材や照明をはじめ、楽譜も自分で用意し、一年半ほど前から趣味で始めたというギターを使って「おうちでライブ」を開催したそう。また、今までは時間がなくてなかなか実現できていなかった長年の夢である作曲にも挑戦し、実際にグループの楽曲となって発表されたとのことだった。
さて、なぜそんな現役アイドルの二人が伊豆半島からやってきた深海魚と触れ合っていたのか。それは、彼女たちの「出身地」と関係がある。
川村文乃さんは、高知県出身。県の観光特使や、高知市PR大使も務めている。
そして、鍛治島彩さんは千葉県出身。千葉の魅力を広めるために活動する「オール千葉おもてなし隊」のオピニオンリーダーでもある。
高知県には雄大な景色を楽しめる足摺岬などを抱える「幡多半島」、千葉県にはもちろん「房総半島」がある。
実は、これら「日本の半島地域」は近年、伝統工芸や産業などの担い手、後継者不足やそれによる消滅のピンチという課題を抱えているのだ。
それを乗り越えるため、各半島では様々なプロジェクトを企画、実施している。移住者を募って後継者の育成を行ったり、外からの力で地域の伝統に新しい価値を創造したり......。
伊豆半島の「深海魚直送便」も、そのひとつだ。
こういった取り組みによって実際に伝統の再生を行えた例も、各地にあるという。
そんな個性豊かな「半島地域の取り組み」を取材してほしいという依頼が、Jタウンネット編集部に舞い込んできた。
しかし、今はコロナ禍でなかなか日本各地にある半島地域に実際に足を運ぶことができない。
そこで、地元のためにも活動する現役アイドルの二人に、東京に居ながら「半島の魅力」を体験してもらった、というわけだ。
とはいえ、「日本の半島」といっても、あまり具体的なイメージが思い浮かばない人も多いかもしれない。
高知県出身の川村さんに、まず「半島」と聞いて思い浮かぶものや、そのイメージ尋ねると、
「私は、半島って聞いたら、島かな? と思うぐらい半島について知識がありませんでした。
でも半島について調べたらこんなにもたくさん半島って呼ばれる場所があるってことにびっくりしました」
という。また、
「実は地元の高知県に(半島が)あるというのも知らなくて、驚きました」
とも話した。一方で、鍛治島さんからは
「半島と聞いたらもう房総半島しか思い浮かばず......。正直(房総半島が)一強だと思っていました。すみません」
と、千葉県出身らしいコメントが飛び出した。
実は最近も房総半島を訪れた、という鍛治島さん。コロナ禍に見た壮大な景色がとても印象に残った、と話す。
「(コロナ禍で)アイドルとしてのお仕事が激減して、おうちにずっといることが増えました。
心にもどかしさが募って落ち込んでいたとき、うちのお姉ちゃんが外に出ようって声をかけてくれたんです。
色んなところに行くのは無理だけどって、ドライブで連れて行ってくれたのが房総半島でした。なかなか外の景色を見ることが出来ていなかった、行き詰っていたときに見た海が本当に忘れられません」