「なぜメディアは料理の代金を払わないのか」 カフェ店主の問題提起から半年...何か変化はあった?本人に改めて聞いた
問題提起のその後は...「来なくなりました」
そもそも小玉さんがこの問題提起をしたきっかけは、今まで全く付き合いがなかったという地域のウェブメディアからの取材依頼がきっかけだった。小玉さんは前回の取材で、
「取材したい、と連絡があったので、そのときに『取材のために作った料理の分の代金は支払ってもらいます』と言ったら『え?』とか、言われて。
『編集部で確認します』って言われて、結局『経費がないので今回の取材は、なしでお願いします』ということになったんです」
と事情を話している。
小玉さんはお店を始めて3年ほど。
最初は取材に訪れた地元の地域誌などが料理の代金を支払わなくても「こういうものなのかな」と思っていたという。
しかし、新聞やテレビ(いわゆる、大手マスコミだ)が取材に来た際は、しっかりと料理の代金が支払われたため、そうでないメディアに対する疑問が募っていった。
問題提起のきっかけとなった地域メディアに対しても、小玉さんは
「料理の代金も経費で支払えないのに取材させてくれ、っておかしいよねって思って、不満に火がついてしまいました」
としていた。
こうした小玉さんの意見を掲載した6月の記事は、一時はツイッターのトレンドワードに浮上するなど、多くの反響を呼んだ。もしかすると、きっかけとなったメディアの関係者の目にも、小玉さんの問題提起は届いたかもしれない。
では、その後メディアとの関係はどうなったのか。小玉さんに改めて聞いたところ
「料理の代金を支払えない場合は取材に応じない、というスタンスを明らかにしたら、そういうメディアからは一切連絡が来なくなりましたね」
とのこと。
今までの方針を改めて、再び関係を構築する......というようなことには、残念ながらならなかったようだ。
一方で、料理の代金をしっかりと支払うメディアからの取材は以前と同じように来ているそう。また、お店自体の売り上げも毎月前年よりも好調で、県内からのお客さんが多く来店しているとのこと。
このように、メディアへの姿勢をはっきりさせたことには、ポジティブな面もあったようだ。
「今までは休みの日に取材の対応をしたり、時には取材のための店を休みにしていたので、そういうのが少なくなって店に集中できるようになりました。
それから今、料理の代金を支払ってでも取材したいと言って来てくれているメディアの人たちは、それだけうちに興味を持って声をかけてくれてるんだなと思うので、取材後にモヤモヤすることもなくなりました。そういったメディアの方々とは、いいお付き合いが出来ているかな、と思います」
と話す。
とはいえ、もちろん良いことだけではないようで......。
「お客さんにとっては限られたメディアにしか情報が載っていないというのは困るかもしれません。かき氷の特集企画に載っていなくて、お客さんに『載ってなかったね』なんて声をかけられたこともあります。仕方のないことではあるんですけどね」