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キーワードは「東川らしさ」。人口8000人、北海道の小さな町が「普通のふるさと納税をやめた」理由

Jタウンネット編集部

Jタウンネット編集部

2020.09.03 17:30
提供元:東川町

「写真の町宣言」がすべての始まり

菊地さんに「ひがしかわ株主制度」について聞いていると、一人の立役者がいることがわかった。

菊地さんと同じく東川町の職員で、「写真の町課」の課長・矢ノ目俊之さんだ。

筆者は、矢ノ目さんにも話を聞きに行くことにした。

写真の町課・矢ノ目俊之課長
写真の町課・矢ノ目俊之課長

東川町のふるさと納税「ひがしかわ株主制度」を現在の形にしたのは、矢ノ目さんだという。

2008年、ふるさと納税という制度をいざ活用し始めようというとき、矢ノ目さんが担当者に選ばれた。

その時にはすでに別の担当者が作った企画案ができていたが、それを見ると「全国のどこの町でもやるような普通のふるさと納税だった」という。

「だから、いったんそれを全部見直しました。それは、東川らしくない。
東川らしいっていうのは、自然を大切にして、文化も大切にして、人も大切にするということ。そして自然や文化、人を繋ぐこと。」(矢ノ目さん)

「自然」と「文化」と「人」。この3つは、「写真の町宣言」の冒頭に登場している。

「自然」と「人」、「人」と「文化」、「人」と「人」
それぞれの出会いの中に感動が生まれます。
そのとき、それぞれの迫間に風のようにカメラがあるなら
人は、その出会いを永遠に手中にし
幾多の人々に感動を与え、分かち合うことができるのです。
(「写真の町宣言」より冒頭部抜粋)

矢ノ目さんは、企画を作る時はいつも、この宣言からブレていないか考えるという。

「やっぱり、東川町のいいところっていうのは写真の町宣言に全部由来してるんですよね。
だから、企画を考えるときに一番大切なのは、自然と文化と人が、それぞれかかわりが持てる仕組みになっているか、ということ。
当初のふるさと納税の企画案は、そうなってなかったので、それは東川らしくない。
ただ寄付してもらって、返礼品を送って終わり、ではなくて、長くかかわってもらう仕組みが必要だと考えました」

では、どうすれば「東川らしい」ふるさと納税になるのか。矢ノ目さんはいくつかの案を考え、その中から「企業の株主」に注目した。

「もちろん株で儲ける人もいますが、本来の株主っていうのは、その企業の成長を応援する人の一人ですよね。
だから町にも、その町の成長を応援する人がいてもいいと思ったんですよ。
そこで、『株主制度』というのを企画してできたのが、今の形。
『写真の町』がなかったら今の制度にはなっていません」

と矢ノ目さん。株主制度だけでなく、様々な企画が「写真の町宣言」を基礎にしているという。

町役場には「写真の町」の言葉
町役場には「写真の町」の言葉

東川町と、写真の町について熱く語った矢ノ目さんだが、実は、出身は東川ではなく、同じ地域の別の町。一度は民間企業に勤めたが、93年に転職して東川町に職員としてやってきた。

「東川町役場に勤めて最初に感じたのは、一般的な『役場』の印象と全然違った。
町の人も農業者や商工業者の人たちに『こういうことやってみたいんだ』って言ったら、一緒にやろう、応援するよとか言ってくれて。町の外から来た20代前半のぺーぺーなのに。
役場の先輩方もポジティブな仕事をしている人が多く、『なんかこの町や役場は変わってるなあ』と思ったのが第一印象ですね。
地域の人たちに応援してもらって、かかわりを持たせてもらったことに恩返ししたくて、東川町に骨をうずめようと思うようになりました」
都会との共存共栄を目指す「ひがしかわ株主制度」
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