「崩落事故、もう2度と起こさない」 最新技術で危険を予測...広島県の決意と挑戦
2020.05.08 12:00
提供元:広島県
法面の崩落、どうやって予測する?
しかし、具体的にどうやって崩落を予測するのだろうか。Jタウンネットは実証実験の責任者である、土木建築局道路整備課の高月哲さんと飛田祐典さんに詳しい話を聞いた。
――なぜ「法面崩落の予測」を「ひろしまサンドボックス」のテーマにしたのでしょうか。
高月さん:2018年の崩落事故では、1人の方が亡くなられました。県としてもこういったことを2度と起こさないためにどういったことをしていくべきかということで、学識経験者等も参加する検討会を立ち上げ、崩落の原因究明、対策工法および今後の法面対策のあり方について検討してきました。
――崩落現場はかなり強力に固定されているようでした。
高月さん:今日行った現場は、ハード対策として検討会で決定した復旧工法でガチガチに工事してありますが、この工法を全部の法面に適用するというわけにはいきません。ハード対策も重要ですが、ソフト対策を充実させる必要があるということで、法面の監視をして事前に危ないところの目星をつけ、崩落を未然に防げればということでスタートしました。
――これまではどのような点検方法をとっていましたか。
高月さん:週に1度、道路パトロールカーで全ての道路を点検しています。その時点で変わった所が発見できれば対応しますが、なかなか人の目で全部を把握するのは難しいです。この他には5年に1度、専門機関に斜面をチェックしてもらうことがありますが、日々の細かい変化には対応できません。その頻度を上げようと思うとお金がかかるので、デジタル技術を活用することになりました。
――法面崩落の予測には、全国から集まった提案のうち、4つのコンソーシアム(共同事業体)のアイデアが採用されました。例えば、荒谷建設コンサルタント(広島市)と、広島電鉄・安芸太田町のコンソーシアムでは、どのような実証プログラムを実施する予定ですか。
高月さん:例えば、荒谷建設コンサルタント(広島市)は広島電鉄のバスや安芸太田町のスクールバスに小型カメラを搭載し、岩盤に変化が起こってないかを監視します。
また、目視困難な斜面における遠隔操作ロボットを使った法面調査もアイデアとして提案しています
広島県が管理する道路は広島市を除く県道と国道で全長約4200キロ。高月さんは「最終的には一般車両や緊急車両などに装置を付け、より頻度を上げてデータを収集、分析するところまでできるようになれば」と期待を語った。