ココからあなたの
都道府県を選択!
全国
猛者
自販機
家族
グルメ
あの時はありがとう
旅先いい話

ついに日本から消える「喫煙車両」 逆になぜ今まで存続できた?近鉄に事情を聞いた

井上 祐亮

井上 祐亮

2020.02.07 17:00
0

座席で吸えなくなる前にプカプカしてきた

乗車したのは、近鉄名古屋からへ大阪方面に向かう特急列車。すでに喫煙車両の走行本数は少なくなっているようで、列車を探すのにも苦労した。結局、名古屋に到着したのは正午すぎだったが、喫煙車両に乗れたのは16時過ぎだった。

車掌に聞けば名前は「ニュースナックカー」だという。オレンジと紺色のボディが特徴的で、筆者が乗車したのは4両編成の1号車だ。

4両編成の1号車。筆者の席は窓際だった
4両編成の1号車。筆者の席は窓際だった

乗車した瞬間、個人経営の喫茶店の匂いがした。天井は、黄ばみがかっているように見えた。何十年もタバコの煙を吸収してきたのだろうか。座席に座ると、至る所からタバコに火をつける音が聞こえてきた。

みな小説や新聞を読みながら、至福のひと時といったところか。筆者も、とりあえず吸ってみようと、灰皿を探した。すると、ひじ掛けに「TABLE」の文字を発見。先端を引くと灰皿が出てきた。

ひじ掛けに灰皿。ちなみに「TABLE」部分を引っ張るとテーブルに変身する。
ひじ掛けに灰皿。ちなみに「TABLE」部分を引っ張るとテーブルに変身する。

座席に深く座って、窓の外の景色を眺めながら、タバコを一吸い。ぼんやりと外を見つめながら、吸うタバコは一段と美味しく感じた。

電車の座席で吸うなんて、初めての経験
電車の座席で吸うなんて、初めての経験

何本か吸っていると、デッキに立っていたカップルに車掌が特急券の提示を求めている姿が見えた。話を聞いていると、どうやら喫煙車両でタバコを吸ってみたいようだ。

「タバコを吸いたかったら、空いている席に座ってご自由に。何せ明日までですから」

と車掌が声をかけていた。その声が聞こえたからか、あるいは「近鉄特急は喫煙ルームを除き全席禁煙になります」という車内アナウンスが流れたからか、前方に座っていた老夫婦も、

「ここで座って吸えるのも最後ねえ」

とこぼしていた。

何本も何本も吸った
何本も何本も吸った

いったい何本タバコを吸ったのだろう。近鉄名古屋から、乗り換えのために降りた伊勢・中川間の移動に約1時間。2箱あったタバコは空になっていた。

電車の座席というシチュエーションでタバコを吸えるのが最後という感慨からか、ちょっと吸い過ぎてしまった。

なぜ喫煙車両を残してきたのか
続きを読む
PAGETOP