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肉を柔らかくするなら「マイタケ」が最強らしい 本当なの?専門家に聞いてみた

松葉 純一

松葉 純一

2020.01.09 17:00
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口の中でとろけるような霜降り肉なんて、久しくお目にかかっていない。

記憶も定かではない。もうずいぶん昔のような気もするが、あれはまだ平成の頃だったかな......。高級な柔らかい肉とは縁のない、硬い肉派の庶民(Jタウンネット記者も同様だ)にとって見逃せないツイートが、2020年1月6日に投稿された。

「豚の肩ブロックを削ぎ切りにして舞茸と酒醤油で漬け込んだ物を焼いたんだけどさ」と報告する投稿者「カズヤ☆低すぎる☆ツイッターレベル」(@Kazzforze)さんの、次の一言が衝撃だ。

「こんなに柔らかくなんの!!??」

写真は、調理された豚の肩ブロック肉だ。

一見、けっこう歯応えありそうだが、そんなに柔らかくなったのだろうか。「赤身部分が脂身みたいにフワフワなんですけど!!」とは......、いったいどういうことだろう?

「プロテアーゼ」が肉のたんぱく質を分解

@Kazzforzeさんのツイートより
@Kazzforzeさんのツイートより

ツイートの写真をもう一度ご覧いただこう(写真上)。ゴロッとした豚肉と一緒に、クチャクチャッと縮んで見えるのは、マイタケだ。どうやらこのマイタケに秘密がありそうだ。

冒頭の投稿を引用する形で、こんなツイートも投稿されており、話題となっている。

「マイタケのタンパク質分解酵素はスーパーで手に入る食材で最強クラス」と、投稿者「すろちる」(@slow_children_)さんは分析している。

マイタケのタンパク質分解酵素とは、何だろう? 調べてみると、こんな資料を見つけた。

「きのこの中でも特にまいたけに多く含まれるのが、プロテアーゼというたんぱく質を分解する酵素。例えば、まいたけを肉と一緒に調理すると、プロテアーゼが肉のたんぱく質を分解して食感を柔らかくしてくれます」(雑誌「きょうの料理」2014年9月号より)

どうやら「プロテアーゼ」という酵素が原因らしい。「きょうの料理」で解説しているのは、東京農業大学応用生物科学部の前橋健二教授だった。

Jタウンネット記者は前橋教授に電話で詳しい話を聞いてみた。

「硬い肉ほど効果が感じられる」

マイタケ (Charles Haynesさん撮影、Wikimedia Commonsより)
マイタケ (Charles Haynesさん撮影、Wikimedia Commonsより)

「きのこ類にはプロテアーゼを含むものが多いですが、なかでもマイタケはプロテアーゼがひときわ多いことで知られています」と前橋教授。プロテアーゼが肉のたんぱく質を分解して、食感を柔らかくしてくれることは、間違いないとのこと。

プロテアーゼの効果は温度と関係があるのだろうか?

「ふつうに調理する過程で、加熱されると、たんぱく質を分解する効果が高くなると思います。長時間蒸す、煮込む必要はないでしょう」と前橋教授。冷蔵されたものでも、加熱すれば、たんぱく質分解効果が発揮されるという。

「硬い肉ほど、効果が感じられるはずです」

と前橋教授は語る。

ツイッターにはこんな声も寄せられている。

「鳥のササミや胸肉みたいなヘルシーな肉と割り下とマイタケぶち込んでおけば、食感が柔らかくなるってことなのかな これで親子丼とか作ってみたい」
「硬い牛肉が手に入ったらとりえず、マイタケと一緒に漬けとけって事ね」
「ちょろっと調べてみたら分解酵素の至適温度は60~65度程度らしいので、常温で漬け込んだ後に弱火でじっくりねっとり加熱調理するとより効果的っぽいですなぁ」

SNSでずいぶん話題になっているんですよ、と前橋教授に伝えると、「調理を科学的に考えることは良いことですね。理屈が分かると楽しくなると思います」というコメントが返ってきた。

安くて硬い肉でも、マイタケがあれば、柔らかくなる。その理屈が分かれば、いろいろ応用してみたくなるのも当然だ。

消費税は10パーセントに上がったし、収入はちっとも増えないし、世間の景気は全然良くならないが、少し希望が見えてきた。マイタケがあれば、なんとか元気に乗り切れるかも......(?)。

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