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誰が買うの?東京都心の豆腐屋リヤカー 直撃取材で分かった「意外な需要」とは

笹木 萌

笹木 萌

2019.08.11 08:00
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綾瀬・麹町・西麻布... 買う人はどんな人?

菅谷さんが豆腐のリヤカー販売を始めたのは23歳の時、リヤカーで行商販売を行う「築地野口屋」のフリーペーパーを見たことがきっかけだという。子どもの頃からいじめられっ子で自分に自信がなかったという菅谷さんは、「腕よりも心で販売できる人募集」の言葉が「すごくグッときた」と話す。

千葉県松戸市に住んでいるという菅谷さんは、近いエリアの足立区・綾瀬でリヤカー販売を始めた。5年ほど経ったころに四ツ谷(麹町近く)に倉庫ができたといい、「いろんな世界を見てみたい」という理由で、四ツ谷での販売を志願したという。

麹町はオフィスの多いイメージだが...
麹町はオフィスの多いイメージだが...

現在は綾瀬・麹町・西麻布の3エリアを回る。それぞれのエリアで、客層に特色があるようだ。

「下町(綾瀬)は仲良くなると家族みたいになるんですけど、信用してもらうのに時間がかかるというか、通りすがりの人が買ってくれるっていうのがあんまりないです。でも麹町や西麻布の人はそれがすごく多い。値段とかあまり気にしないでほしい物を買ってくれる人が多いです」
常連のお客さんはインターホンを押して回る
常連のお客さんはインターホンを押して回る

綾瀬のお客さんは一人暮らしのお年寄りがほとんどで、雨や雪など天候の悪い日はいつにも増して喜ばれるという。

「お豆腐を買うっていうよりはおしゃべりを楽しみに、家族が家にやってくるみたいな感じ。お茶を出してくれていろんな話をしたり、おやつを一緒に食べたり、ラインとか教えてあげたり。長い間毎週行ってるから、家族みたいな感じで、ついでにお豆腐も買ってもらうって感じが多いです」

都会なイメージのある西麻布も路地に入れば古民家があり、お年寄りが出てきて買ってくれるとのこと。麹町はオフィス街ということで、会社員が仕事の休憩中に来てくれることもあるようだ。

車の走る横を、リヤカーを引いて歩く
車の走る横を、リヤカーを引いて歩く

一人暮らしのお年寄りの見回りもかねて、楽しく仕事を続けているように見える菅谷さんだが、過去には大変な経験をしたこともあった。

「毎週会いに行ってたおじいちゃんの、ご遺体の発見者になったことも。5、6年前には、あまり触れ合いのなかった1人暮らしのおばあちゃん家を見ると、ハエだらけだった時もありました。

豆腐を売るだけじゃなくて町の人たちと話せるような仲だったら、ハエだらけになる前にもうちょっと早く見つけてあげることができたんじゃないかって思います。

話しかけるのはすごく苦手だけど、あいさつとか大事にしながら、笑顔で、売るとか売らないとか関係なく、コミュニケーションしながら歩こうって決めたのは、これがきっかけです」

高齢化が進む中で、豆腐のリヤカー販売は新たな役割を担っているようだ。

(Jタウンネット編集部 笹木萌)

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