夏休みになると学校で配られていた冊子、どんな内容だった?
岐阜の「夏の友」について聞いてみると
発端となったのは、2018年7月25日付の岐阜新聞Web版の記事だ。この記事の中で、岐阜では1948年から夏休みの生活と学習のガイドブックとして、「夏の友」という冊子が製作され、県内の多くの小学校で配布されていることが紹介されていた。
言われてみると、記者(広島出身)も小学生のころにそんな名前の冊子を渡されていたような気がするのだが、Jタウンネット編集部内で確認してみると、記憶にないという声が挙がった。SNSや質問サイトなどを確認してみると、名前の違いはもとより、やはり冊子の有無でかなり意見が分かれている。
単に記憶の問題という可能性もあるのだが、ひょっとすると結構な地域差がある存在なのだろうか。まずは岐阜の事例を確認してみよう。Jタウンネットは「夏の友」を製作・発行している岐阜県校長会館に取材を行った。
「あくまでも岐阜県においてですが、『夏の友』は課題、宿題ではなく、学校の副教材とは異なります。夏休みの過ごし方を示した、ガイドブックのようなものです。勉強のための問題のページは少しだけで、基本的には読み物です」
担当者はこう説明してくれた。戦前には、夏休みの課題用の冊子が配布されていたようなのだが、記録が残っておらず詳細は不明。現在の「夏の友」は1948年から毎年発行されているが、もともとはドリルのような勉強が主体の冊子だったという。
「私が子どもの頃も宿題用のドリルのような内容でしたが、製作に携わった先生たちが『子どもたちに夏休みをどう過ごしてほしいか』と考えていくなかで、徐々に読み物主体となっていきました」
学び方の形が変化していく中で、冊子が「宿題」から「ガイドブック」へと変化していったわけだ。
夏休みの宿題の出し方は学校ごとに異なるため、担当者も宿題の内容は分からないとしつつ、「もう少し勉強もしたほうがいいということなら、『夏の友』に加え、ドリルなども別途配布するといった形になっているようだ」と話す。
気になるのは地域差だ。岐阜の「夏の友」はあくまでも岐阜県校長会館が独自に製作しているもので、全国共通の教材などではない。学校教育法などで「夏休みに課題や冊子を配布する」と定められているわけでもなく、別に厳密な規定があるわけでもない。
担当者も都道府県ごとにかなり差があるようだと指摘する。
「昔は各県で独自に夏休み用の冊子を製作していたようですが、今では教材メーカーの販売しているものを利用する例が多いようです。個人的には愛知や静岡で、現在でも独自の冊子が製作されていると聞いたことがありますが、岐阜の『夏の友』のような読み物主体のガイドブック形式の冊子は、全国的にも非常に珍しいようですね」