日本で唯一!「ボートレーサー養成所」の修了式を見てきた
眩しくてかっこいい修了生たち
修了記念レースと修了式が無事に終わったあと、修了生に取材をする機会があり、何の知識も持たない記者が単純に気になった、3人の修了生から話を聞くことにした。在所生たちの眩しい話を聞いていると、これからボートレーサーとして活躍する修了生からもいろいろと聞いてみたくなったのだ。
まず取材に応じてくれたのは、現役ボートレーサーの原田富士男さんを父に持つ、原田才一郎さん。修了生内のチャンピオンを決める修了記念レース「養成所チャンプ決定戦」で勝利を飾ったレーサーだ。
福岡出身ということもあり、養成所チャンプ決定戦もホームタウン感があり、福岡代表のつもりで挑んで勝つことができたと笑顔で語ってくれた。
「養成所では技術だけでなく、プロとしての立ち振る舞いを学ぶことができました。エンジンの音や匂いを感じさせる走りで、ボートレースの魅力を伝えられるレーサーになり、父を乗り越えたいと思います」
2人目は、かつてシンクロナイズド・スイミング日本代表にもなったことがあるという計盛光(かずもり・ひかる)さん。そこまでのキャリアを捨てて、ゼロからボートレーサーを目指した理由はなんだったのか。
「シンクロでは身長の低さが減点対象、ハンデになってしまいます。だったらいっそ、身長の低さが武器となる、強ければ勝てる競技の世界で戦いたいと考えました。モータースポーツが好きだったということもあり、ボートレーサーを目指すことにしたんです」
計盛さんは笑顔で答えてくれたが、これまでやってきたことを捨てるというのは、かなり勇気がいる判断のはずだ。同じようにこれまでのキャリアを捨ててボートレーサーに転向した人はもうひとりいる。修了生の中で最年少となる17歳の平川香織さんだ。
平川さんも10年近く続けていたフィギュアスケートを辞め、ボートレースの世界に飛び込んだ。そのきっかけは、フィギュアで伸び悩んでいたとき、父親に連れられ加藤峻二さん(73歳という現役最年長記録を持つレーサー)の引退レースを見たことだったという。
「年齢も性別も関係なく、努力をしたレーサーが勝つ姿を見て、自分のやりたいことはボートレースだと感じました。フィギュアを辞めることに悩まなかったわけではありませんが、後悔はまったくありません」
3人とも眩しすぎるくらいにかっこよく、とてもいい目をしていたことが印象に残った。「夢に向かって突き進む」なんてなかなか使わない言葉だが、今回がその使いどころではないだろうか。