日本で唯一!「ボートレーサー養成所」の修了式を見てきた
性別も年齢も関係ない真剣勝負の世界
記者の『モンキーターン』知識では養成所は山梨県にある本栖湖のイメージだったが、2001年に柳川市に移転。以降は国内唯一のボートレーサー養成所となっている。
養成所は柳川市の南、有明海に面した干拓地の先端にあり、周囲は一面の畑だ。西鉄柳川駅から車で15分ほどの場所になるが、タクシーの運転手さんから「ここまで来るとなにもないですからね」と言われたことからもお察しいただきたい。
修了記念レースは午前8時から開始されるとのことで、記者も7時30分には養成所に着いていたのだが、朝の海沿いは3月末とはいえ冷え込む。そんな寒さの中、養成所の門には礼服を着た在所生たちが並び、来所者たちに敬礼をしていた。
そう、養成所はただボートレーサーとしての知識や技術を学ぶだけでなく、「礼と節」を重んじた教育方針を掲げているのだ。非常に厳しい礼節教育が行われていると聞いていたが、実際に目にするとその徹底ぶりがよくわかる。
記者の取材に答えてくれた養成所の教官によると、4月入所と10月入所に合わせて年に2回入所試験が実施されるが、1000人を超える志願者に対し募集人数は50人程度となる。今回終了した第122期生の場合、51人が入所し、修了したのは約半数の26人(うち3人が女性)。狭き門を潜り抜けても、さらに厳しい訓練で選び抜かれたメンバーに絞り込まれていくわけだ。
そんな選び抜かれたメンバーによる修了記念レースということもあり、当日実施された5回のレースは記者の目にはどれも迫力ある内容に映った。現役レーサーと思われる観戦者からは「まだまだ」との声も聞こえたが、素人の記者はボートの速さや水しぶき、エンジンの音に圧倒される。
レース競技としての「かっこよさ」や「臨場感」は、他のモータースポーツに負けないと言えるだろう。
ところで、修了生や在所生たちはなぜボートレーサーを目指すのだろうか。レース中の修了生に取材するわけにはいかないので、スタッフとして会場にいた礼服姿の在所生たちに、少し話を聞いてみることにした。
「兄弟や親類がボートレーサーなのでボートレースに憧れがあった、身近だった」という声も聞かれたが、純粋にボートレースがかっこいいと思ったからという在所生も。23歳の女性在所生は、
「『モンキーターン』を読んで、ボートレーサーになりたいとずっと思っていました」
と答えてくれた。『モンキーターン』の影響力恐るべしだ。別の女性在所生はお兄さんが現役レーサーとのことで、「兄妹対決がしたい」と話してくれた。ボートレースは男女混合レースもあるため、彼女が無事修了すればその夢が叶う機会もありそうだ。