ココからあなたの
都道府県を選択!
全国
猛者
自販機
家族
グルメ
あの時はありがとう
旅先いい話

おもわず考えさせられる難解な店名【探訪!スナック珍名さん】

中丸 謙一朗

中丸 謙一朗

2017.07.02 20:00
0

こんにちは。スナックでこそカールを食いたかったコラムニストの中丸謙一朗です。

さて、本日も「全国スナック名称研究会」(全ス研)提供、
「スナック珍名さん」をお送りいたします! (パチパチパチパチ)

今回は、青森から沖縄、ぽっと出から四番打者級まで、
全国の脱力系スナックがトゥギャザー。

看板チェックは煩悩チェック、入店ないので、チャージフリー。

コスパ最強、誰でも楽しめる、スナック「哀愁」物語。

では、今週もじっくりとお楽しみください。

【第1発目】「ワールド・オブ・ぽっ」(採取地・多摩地区)

「ぽっ」
「ぽっ」

うーん。いままでいちばん難解だね。どの方面の「ぽっ」なのか見当もつかない。酒のんでほっぺが赤くなって「ぽっ」? 「ぽっと出」の「ぽっ」? それとも、マスターご推薦の呪文系の「ぽっ」? 全部ひらがなっていうのも「ぽっ」。表の看板見たんですけど、って勇気を出して入店すると、そこは「ぽっ」。。

【第2発目】「なんのたらかわかった頃には朝」(採取地・青森)

「たら」
「たら」

これも世界観のわからないネーミングだよな。魚のたらなのか、それとも「~したら」みたいな、思わせぶり、スナック文学系の言葉なのか。あるいは大穴で、ママが生粋のサザエさんファンという可能性もある。赤ちゃんプレイの殿堂みたいな穴場だったらいいよね。「ぱーぷー」とか「はーいー」とか。あ、あれはイクラちゃんか。でも、たぶんマスターの釣りの自慢話とチーたらが定番の店だね。

【第3発目】「カウンターとちわわ」(採取地・盛岡)

ちわわ
ちわわ

注目は「ナイトスタンドちわわ」。かわいいというより、どちらかというと弱々しい店名。ちまちましたものを端っこのほうで黙りこくりながらカリカリと齧って、ものすごくたまにママさん(派手な化粧の40代)になでられたりする。気を抜いてると、ブルドッグみたいな常連のおじさんにうしろから威嚇されたりする。かまってもらえそうで、実はそうでもないお店。

【第4発目】「スナックかけふにビーナスを」(採取地・たぶん大阪)

かけふ
かけふ

これはある意味べたなところをぶっこんできましたね、「スナックかけふ」。まあ、わかりやすく阪神ファンなんだろうけど、たぶん「掛布時代」からはだいぶ時が経っているので、掛布の話をすりゃいいかっていうと、それじゃ「お客さんも古いねえ」なんて言われたりする。とりあえず付け焼き刃で覚えさせられたバイトの女の子と話し合わせるのは、能見あたりが狙い目ですかね。よくわからんが。

【第5発目】「ゴルフと鉢植えとごんちゃん」(採取地・佐賀)

「ごんちゃん」
「ごんちゃん」

ま、これも「ごんちゃん」っていわれて、ああそうですかぐらいの、ぽかんとしちゃう名前なんだけど、とりあえず、トレードマークがゴルファーっていうのは何なんだろうね。ママが最近までキャディーさんやってたとか。あるいは、このイラストはまったくの釣りで、鬼瓦権造系のマスターが、鉢植え世話したりして、ひとりでまめまめしくやってたりしてね。いや、ほんと名前だけって奥が深いのよ。

【第6発目】「うるおいは水商売の基本」(採取地・不明)

「うるおい」
「うるおい」

路地裏のしぶい店構えなんだけど、名前的にはこういうのがいちばんしびれるんだよね。うるおい、なんていいじゃん。絆なんて嘘くさいことばよりもよっぽどいい。うるおいのあるお肌、うるおいのある時間、うるおいのある生活。このことばだけでご飯2杯はいけるよね。なかじゃ「乾き物」なんてことばはご法度。たとえママがカピカピの婆さんでもね。艶のある会話でどうにでもなるんだよ、スナックは。水商売だけに。て、うまくまとめてどうする。

ということで、今週の「スナック珍名さん」、いかがだったでしょうか。

それでは、ハバ・ナイススナック!

*注 この企画はあくまでも公に公開されている風景としてのスナックの看板および名前を味わうための企画です。採取した時期もさまざまですので現在も存在しているかどうかは不明です。なお、実際のお店の状況には責任を負いませんので、個人の責任にてお楽しみください。

全国スナック名称研究会では、読者のみなさんが発見した「珍名スナック」の看板画像を募集しています。寄稿フォームかメール(toko@j-town.net)で、ペンネームと発見場所、あなたの年齢(20代、30代など大まかで結構です)、性別、職業を明記してお送りください。ツイッターのハッシュタグ「#全ス研」でも受け付けます。なお、いただいた投稿の一部を改変・編集する場合があります。あらかじめご了承ください

中丸謙一朗

今回の筆者:中丸謙一朗(なかまる・けんいちろう)

コラムニスト。1963年生。横浜市出身。『POPEYE』『BRUTUS』誌でエディターを務めた後、独立。フリー編集者として、雑誌の創刊や書籍の編集に関わる。現在は、新聞、雑誌等に、昭和の風俗や観光に関するコラムを寄稿している。主な著書に『ロックンロール・ダイエット』(中央公論新社、扶桑社文庫)、『車輪の上』(枻出版)、『大物講座』(講談社)など。好きなアーティストは宮史郎とジム・モリスン。座右の銘は「物見遊山」。全国スナック名称研究会代表。日本民俗学会会員。
PAGETOP