偶然が生んだ宝石のようなパン! 富山県朝日町の「ヒスイパン」
■失敗は成功のもと!? ヒスイパンの誕生秘話
清水製パンのある富山県朝日町の宮崎・境海岸は、日本で唯一ヒスイの原石が打ち上げられることで有名です。それだけに、ヒスイパンはヒスイにちなんで誕生したのかと思いきや、実は違うんだとか。
清水さん「創業者である父がパン作りをしていた1955年に、食べ物を無駄にできないという思いであんぱんの焦げ目を隠そうとし、和菓子作りに使っていた緑色のようかんを塗ったことが始まりです。その時は、『ようかんパン』という名前でした。1984年に朝日町で開催された第1回ビーチボール交流大会で使用していたヒスイ色のボールを父が見て、自分たちの作るようかんパンに似ていると感じたようです。それから『ヒスイパン』に改名したことで、地元の人にとってより親しみ深いパンとなったと思います」
失敗から生まれたというようかんパンですが、甘いものが貴重だった時代ということもあり、たちまち地元で評判となりました。そして、のちに地元の名産品であるヒスイとリンクさせたことでメディアの注目を集め、結果的に60年以上も続くベストセラーとなったのです。
ちなみに、ようかんパン時代からのファンには、あんぱんからようかんをはがして分けて食べる人もいるんだとか。ようかんとあんぱんを同時でも別々でも楽しめるのが、一石二鳥というわけですね。
ヒスイパンは、富山県入善町にあるショッピングセンター、コスモ21内の「ピエール」や清水製パンのホームページで購入できます。また、夏季にはヒスイ海岸で開かれる海の家でも販売。ヒスイ拾いや海水浴をしにやってきた地元民や観光客から、おやつとして愛されています。
こうして、富山県を代表する名物として親しまれるまでになったヒスイパン。清水さんに今後の展開について聞いてみました。
清水さん「詳しいことはまだ秘密ですが、ヒスイ色以外に新しい色を増やして、いずれはバリエーション豊かなヒスイパンを展開したいと思っています。また、もともとうちは学校給食をメインとしてパン作りをしてきました。私もおいしそうにパンを食べる子どもたちの笑顔を見ることが好きなので、これからもその笑顔のためにパン作りにはげんでいきたいですね」
ヒスイにゆかりのある地で、子どもからお年寄りまで世代を超えて親しまれているヒスイパン。これからも地元のシンボルとして、輝きを放っていくことでしょう。
店舗情報 ● 清水製パン直売所「ピエール」
住所:富山県入善町橺山1336コスモ21内
電話:0765-74-9106
営業時間:10:00〜19:00
公式サイト:http://shimizupan.com/company.html
※記事中の情報・価格は取材当時のものです。
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