コアラのマーチ、ライバルはゆるキャラ? よしもとコラボの裏側と「まゆ毛コアラ」の謎に迫る【後編】
コアラのマーチについての様々な情報を得ることが出来た前編に引き続き、後編ではよしもとコラボの裏側、まゆ毛コアラについてなど、より深い内容に踏み込んだ。
史上初のコラボ相手はよしもと芸人
2016年5月24日、コアラのマーチ史上初めての試みが行われた。それが「コアラのマーチwithよしもとコアラ芸人」だ。21人の芸人たちをモデルに、全22種類のコアラ芸人が作られた。1人につき1種類のコアラが基本だが、「とにかく明るい安村」さんには2種類の絵柄がある。
この決断までは、実は超えなくてはならないハードルがいくつもあったと、村尾さんは語った。
「今までのコアラのマーチは、他のキャラクターと並べないなど、色々な決まりごとのもとで『過保護』に育てられてきました」
そのような決まりごとがある中でコラボレーションに踏み切った背景には、とある仮説と、1つの課題があった。村尾さんは、
「(他のアニメや漫画などに比べて)ゆるキャラは、コアラのマーチにすごく世界観が近いんと思うんですよ」
と、「ゆるキャラライバル説」を披露した。ゆるキャラの関連グッズと、コアラのマーチはいわば同ジャンルの商品としてくらべられてしまうのではないか、と考えているという。
そんな中で、もう一度絵柄に興味を持ってもらうため、新たな試みとしてコラボレーションに踏み切った。
SNSでも「この絵柄はだれだろう」というように話題になることも増え、実際に手ごたえも感じたという。
「親子層だけでなく、高校生や大学生にも絵柄に対する好意的な反応をいただけて、モデルとなった芸人の方々にも気に入っていただけました」
機会があれば、今後も新たなコラボを模索していきたいと、意気込みを語った。
マーチングのマーチからマーチくんのマーチへ
次に、パッケージデザインについて質問をしてみた。まず、パッケージに大きくあしらわれているコアラは「マーチくん」という名前で、現在のグッズ展開の中心となるキャラクターだ。2001年のCMから活躍し始め、ガールフレンドのワルツちゃんとともに、今や商品の顔となっている。
マーチングを意味していたマーチは、現在はキャラクターの名前でもあるのだ。
とはいえ、全てのコアラがマーチくんやワルツちゃんの衣装違いや、コスプレということではなく、基本的にはそれぞれに設定がある別のコアラなのだという。
ちなみに、パッケージ正面の少しリアルな毛並みの親子のコアラは「ブランドシンボル」で、発売当初からずっと変わらず使われている。古くからのパッケージを知る人には、マーチくんよりもこちらの方がイメージにあるのではないだろうか。
ただ、
「実は、親子コアラはこれまで、毛並みなどに微妙な変更などはありました」
とのことなので、どの年から毛並みが変わったのか、検証してみるのも面白そうだ。
また、特徴的な6角形の容器はユーカリの木をイメージするとともに、どの角度から見てもコアラのマーチだとわかるようにという工夫の末に生まれたという。細かなところまでコアラをイメージし尽くした品なのだ。
気になる「まゆ毛コアラ」の裏側
最後に、コアラのマーチにまつわる「まゆ毛コアラ」に関する噂についても質問をした。
「幸運を呼ぶ」などと話題になった通称「まゆ毛コアラ」について、聞き覚えがある人も多いのではないだろうか。
これについては、
「発売から4年経った88年ごろに、女子高生から「幸運を呼ぶまゆ毛コアラ」についての問い合わせがあったことが記録に残っています。その後91年頃、女性誌に取り上げられて全国的に広まったんだと思います。88年当時は30種類くらいしか絵柄が無くて、まゆ毛のコアラに出会いやすかったからこそ広がった噂だと思います」
と、噂についての見解を教えてくれた。また、この情報は、パソコンのない時代から担当者に代々受け継がれてきた手書きの「コアラのマーチの歴史書のようなもの」に記録されているという。
しかし、現在は366種類のコアラが居るため、どのコアラも均等に出会いにくいという。
「絵柄の偏りなく製品にしているので、どれが出にくいということはなく、どれも出にくい、という状態になっていると思います」
自分だけのラッキーコアラを
こうして、村尾さんの協力の下で、コアラのマーチの基礎知識からあまり知られていない裏話まで、様々な情報を得ることが出来た。
また、村尾さんのマーチくんを優しくなでる姿や、受け継がれている手書きの歴史書の存在などから、商品を大切にしている姿勢が伝わってきた。
その後、コアラのマーチを開封してみると、確かに子供のころよりもはるかに絵柄が豊富になっているのを感じた。気に入った絵柄を自分にとってのラッキーコアラにすると、食べるときのちょっとした楽しみになるかもしれない。