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100年近く受け継がれる"朝ラー"聖地の温と冷 静岡県藤枝市の「志太系ラーメン」

at home VOX

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2016.04.13 12:04
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■中華そばと冷やしをダブルで食す

1919年創業のマルナカは、地域で一番の老舗ラーメン屋。午前8時半に開店すると同時に、道路沿いの一軒家にお客さんが集います。

1970年ごろから使い続けている看板の文字は薄くなり、一見するとラーメン屋とはわかりません。
1970年ごろから使い続けている看板の文字は薄くなり、一見するとラーメン屋とはわかりません。
テーブル席のほかに小上がりもあります。
テーブル席のほかに小上がりもあります。

店に入ったら、券売機で食券を購入。そこには「中華そば」というメニューのほかに「冷やし」というボタンが並んでいました。実は、温かいラーメンとともに冷たいラーメンを提供しているのも志太系ラーメンの特徴のひとつ。三代目の小栗由江さんに案内してもらいましょう!

熱々で運ばれてきた「中華そば 並」。
熱々で運ばれてきた「中華そば 並」。

志太系ラーメンは温と冷をセットで食べるのが流儀と言われています。そこで中華そばと冷やしの両方を注文。最初に運んできてくれたのは、温かい「中華そば 並」でした。

小栗さん「だいたい最初は中華そばを出して、後からタイミングを見て冷やしを持っていきます。もちろん冷やしからや、一緒に食べたいという要望があれば合わせて作りますよ」

具材はチャーシューメンマなど、いたってシンプル。ほんのり湯気の立ったブラウンのスープは、朝の胃袋に優しそうな油控えめのあっさりとしたしょうゆ味です。

小栗さん「だしは豚肉のもも、それから昆布かつおぶしを使って取っています」

スープにはだしから出た風味が生かされていました。ひと口飲めば、動物系の味わいが舌に広がり、ほのかな魚介の香りが鼻から抜けていきます。

丼ぶりをぎっしり満たす麺が、具材の間から顔を出します。
丼ぶりをぎっしり満たす麺が、具材の間から顔を出します。

麺はストレートの中太麺で、もっちりとして食べ応え十分。丼ぶりからあふれんばかりに入った麺量にも驚かされますが、志太系ラーメンには次が控えています。

「冷やし 並」。わさびと紅しょうがのっているのが特徴です。
「冷やし 並」。わさびと紅しょうがのっているのが特徴です。

「冷やし 並」は、中華そばを食べ終わったころに運ばれてきました。涼しげなガラスの丼ぶりを受け取ると、手のひらにひんやりとした感触。きんきんというほどではなく、適度に冷えたしょうゆスープには甘みがプラスされていました。

小栗さん「だしも麺も中華そばと同じものです。でも麺を水で締めたり、スープを甘めに仕上げたり、冷やしにはもうひと手間をかけています

冷やしも丼ぶりいっぱいに麺が詰まっています。
冷やしも丼ぶりいっぱいに麺が詰まっています。

水で締めたという麺は、つるつるでしこしこ。さっぱりとした味わいで、2杯目なのにどんどん胃袋に収まっていきます。さらにトッピングされているわさびを溶かせば、味の変化も楽しめます。甘みのなかに加わる、ツンとした辛味がたまらない! 気づけば、丼ぶりはカラになっていました。

小栗さん常連さんも、中華そばと冷やしの両方を食べる人は多いですね。でも、うちは結構量があるから、1杯でおなかいっぱいになるんじゃないかなとひそかに思っているんですけど(笑)」

それでもつい2杯頼んでしまうのが、マルナカの不思議な魅力。朝にぴったりなあっさり味で、すいすい食べてしまうのです。志太系ラーメンの神髄を堪能しました!

■旧志太郡の朝ラー文化の始まり
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