広島の里山を、首都圏の若者たちは変えられるか...地域の課題解決目指す「ひろしま里山ウェーブ拡大プロジェクト」
「ソトコト」編集長らが指導
このプロジェクトは2015年9月にスタートし、広島県の6つの中山間地域(府中市・三次市・安芸太田町・神石高原町・世羅町・大崎上島町)が抱える課題について、10チームに分かれた受講者が、雑誌「ソトコト」編集長の指出一正さんをはじめとしたメンターの指導を受けながら、グループワークや広島での現地実習を通して考え、課題解決のための企画案を作り出すというものだ。
受講者は若者を中心とした20代~50代以上の幅広い年齢層の男女43名。首都圏で行われた4回の講義・グループワークと、現地での3日間の実習を経て、それぞれのチームが実践プランを練った。
発表会では、安芸太田町の「地域の宝と人をつなぐプロデューサー」という課題に対し、フォトブックを作成し、町に住む人々が自分の町を新たな視点で見るきっかけにするというプランがあがった。ほかにも、6つの市町で唯一の離島、大崎上島町の「大崎上島サポーターを拡大してほしい」という課題には、地元の高校生がメインプレーヤーとなって、地域活性化プランを練り、コンテストで選ばれたプランを次年度に実施するというプランが提案された。この仕組みを高校の活動に組み込み毎年実施することで、地域活性の取り組みを継続的に行っていこうというものだ。この他にも6つの課題に対して多様なアイデアが提案され、会場は活気に溢れていた。
現地実習以外にも、プロジェクト期間中に個人で再度現地を訪れた受講者もいたほど、各地域の課題に対して、受講者が真剣に取り組んでいるのが印象的だった。今後も受講者が自主的にワークショップなどのイベントを開催する予定で、学生NPOを設立したチームもある。県の担当者によると、プロジェクトの受講者のうち5名がUターンでの移住を希望者している。また、地域でローカルベーンチャーに取り組み、地域の課題や可能性に働きかける活動の先に移住する「ソーシャル・ターン」を検討している人もいるという。
また、受け入れる市町のモチベーションも高い。今回の6つの地域は、県の呼びかけに対し自ら手を挙げ参加をしたという。プロジェクトは、首都圏から若者を受け入れ、自らも首都圏に赴くなど、時間とコストをかけてでも人を呼びたい、という市町の熱意があって実現した。
来年度も、新たな受講生によるプロジェクトが行われる予定で、すでにいくつかの自治体が参加する方針だという。