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福井県大野市の「ポスター展総選挙」 グランプリは地元の女子高校生作の「べっぴんに撮ってやぁ 仏壇に飾るんやで」

Jタウンネット編集部

Jタウンネット編集部

2015.12.15 12:47
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地元の若者の愛郷心を養いつつ、がんばる商店も応援

   15年10月に策定した「大野市人口ビジョン・大野市総合戦略」によると、2040年には約2万1500人まで減少し、年少人口割合は11.2%から9.0%に下がると予測されている。

   地元で生まれ育った若者の市外流出を食い止めることは喫緊の課題だ。市内の高校に通学する3年生を対象にしたアンケートによると、将来、卒業後も大野市に住み続けたいと回答した人の割合は4割弱という結果が出ている。

   どっちつかずの回答が多いと分析した市は、安定した雇用の創出や、医療や子育て環境の整備だけでなく、若者に愛郷心を育んでもらうプロジェクト「大野へかえろう」に着手している。「大野ポスター展総選挙」はその第1弾として実施されたというわけだ。ポスターの対象は市内で営業する事業所。地元でがんばる商店や企業を応援する意味合いもある。

   式に参加するのは、夏休み中にポスターを制作した高校生・大学生36人と、ポスターに描かれた事業所、学生の指導を行った大手広告代理店の電通関西支社のクリエイタースタッフだ。投票結果に基づき、各賞の受賞者に賞状等を贈呈する。

   グランプリ受賞作は、高校2年の田中愛梨さんが制作した。「高宮写真館」のポスターだ。口を大きく開けて笑う老婦人の写真に、「べっぴんに撮ってやぁ 仏壇に飾るんやで」のコピーが添えられている。高宮写真館は創業50年以上の歴史があり、記念の1枚を撮影に多くの市民が来店した。そんな歴史が垣間見えるかのようだ。

   同じ2年生の山村莉奈さんが作成した「うおまさカフェ」の作品もなかなかユニーク。同カフェは毎朝水揚げされたばかりのお魚を福井の魚市場から仕入れて、料理を提供する飲食店。夜はカフェとして営業する。大野市では、夏至から11日目ごろの「半夏生(はんげしょう)」にサバの丸焼きを食べる風習がある。ポスターでは眼鏡をかけた男性がサバの丸焼きを持っていて、でかでかと「Ca va?」の文字が打たれている。ちなみにCa va?はフランス語で「元気」という意味。今回の選挙では、同市出身の元大相撲力士・大徹の湊川親方による湊川忠晃賞を受賞した。

   選挙は10月9日から11月23日の46日間実施された。市内4か所に投票所が設置され、グランプリと準グランプリの得票数は1万1185票に達したという。人口規模にしてはなかなかの数だ。

   電通関西支社といえば、一昨年話題となった「文の里商店街ポスター総選挙」(大阪市阿倍野区)の仕掛人でもある。社員約60人が合計200枚超のポスターを作成、ユニークな写真やキャッチコピーはテレビやネットで大きく取り上げられた。ツイッターユーザーからは「かなり面白いもんな」「このセンス好きやでww」「これは行きたくなるね」と絶賛する声が相次いだのは記憶に新しい。ポスターを通じて誰もが地元の魅力を再発見する――この試みは地方創生に取り組む他の都市にも波及するだろうか。

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