《実食!》"玄そばの最高峰"を味わう! 都内近郊で堪能する【常陸秋そばフェア】開催中
そばの生産地といえば、1位は北海道、2位は長野県、そして3位は...?(2014年の生産量 参照)
正解は茨城県。なかでも県北地域には、茨城が誇るトップブランド「常陸秋そば」があります。
「常陸秋そば」は、常陸太田市赤土町生まれで、県の奨励品種。実が大きく、粒ぞろいも良く、力強い香りと上品な甘味が特徴で、そば職人やツウから高い評価を受けています。
県北地域は、昼夜の温度差が大きく、水はけも良く、そば栽培に適している土地。しかし、山間部で斜面が多いため、大型の機械が入らず、生産量がなかなか増やせないという一面もあります。おいしい品種なのに、一般にあまり知られていないのは、そのためです。
せっかくのおいしさをもっと知ってもらいたい。この思いから、茨城県は【常陸秋そばフェア】を開催。新そばが出回るこの季節、都内中心の28店において、「常陸秋そば」を提供しています。
フェアに参加する東京の名店『銀座矢部』の店主・矢部氏による「そば打ち」を見せていただきました。
その日、挽いたばかりのそばを使います。やはり、香りが断然違うそうです。
名人は分量など計りません。「水回し」では、「左手」の感覚のみで、水を加え、全体によく回していきます。そば粉の状態やその日の湿度などにも影響されるので、感覚で捉えるしかないといいます。これぞ、職人技。
全体に回ったら、両手でさらに混ぜていきます。この時の香りの高さといったら!特別に嗅がせていただきましたが、クルミのような香ばしさもあり、清々しい青さもある香りで、初めての体験でした。
そぼろ状の粒がだんだん大きくなっていきます。少しずつ、粘りが出てくるのです。手でひと握り掴んでは状態をみて、ようやく捏ねに入ります。
今度は両手を交互に動かして。右と左、均等に力を入れなくてはなりません。伸ばしながら捏ねる「練り」は、空気が入らないように注意。さらに粘りとツヤが増してきました。
瞬く間にまとまると、続いては「伸し」。打ち粉をふり、まずは手で押しながら、均一な厚みの円形に広げる「丸出し」。
いよいよ、めん棒の登場。何度も伸ばしていきますが、それほど力を入れてはいけないのだそう。
大きな円になったら、今度は、四角く広げていく「四つだし」。リズミカルで無駄のない動き。正方形になった生地を、矢部氏は3本のめん棒を使い分けて、さらに伸ばしていきます。
どんどん薄くなっていく生地は、まるで織物のよう。
折りたたんだ生地を「切り」ます。こま板をあてがいながら、包丁でリズミカルに。矢部氏のそばは細切りですが、生地の厚みと同じ幅で切るという神業。
ある程度の束でまとめ、粉を落とし、並べていきます。
そして、茹でて水で締めたそばが運ばれてきました。
■『銀座矢部』の「江戸風細切りそば」
この美しさに、思わずため息が出ます。細さといい、ツヤといい...。
まずは、ツユをつけずにいただいてみました。甘味がしっかりと伝わりつつも、繊細な風味。香りがふわっと、鼻腔を抜けていきます。
ツユにつけていただくと、甘みがより引き立ちます。
『銀座矢部』では、厚削りの鰹節を使っていますが、せっかくのそばの香りを損なわないために、作ってから3日間ねかせることによって、鰹の風味を抑えるそうです。
しかし、鰹の旨味は熱を加えることで出てきます。だからこそ、そば湯にすると、鰹節のおいしさが現れます。これも絶品です。
また、この日は、地元の『そば工房』婦人会部による「つけけんちんそば」もいただきました。
大根やニンジン、里芋、芋がらなどがたっぷり入ったけんちん汁に、そばをつけて食べる料理。地元の各家庭で楽しまれている郷土料理なのだそう。味付けも、味噌だったり、醤油だったりと、家庭によったさまざま。つまり、家庭の数だけ、種類があります。
■「つけけんちんそば」
こちらは二八そばを使用。キリッと水で締めたそばを、醤油の味わいがしっかりした「けんちん汁」につけて。ほっこり懐かしく、ほっとする味わい。
“玄そばの最高峰“といわれる「常陸秋そば」を都内でいただける【常陸秋そばフェア】。期間は11月29日(日)まで。まずは、お近くの店で味わってみてください。そのおいしさは、そばツウでなくても分かります。
また、茨城県・県北地域では、1月末までスタンプラリーも行っています。直接、現地に足を運んでみるのもオススメです。
参加店・詳細はコチラhttps://www.pref.ibaraki.jp/kikaku/kenpokusinkou/chiiki/soba/h27_soba_fair.html