キャベツまんじゅうにキャベ酎...岩手町の「道の駅グルメ」が個性派ぞろい!
岩手県盛岡市と青森県境の中間点に位置する「道の駅 石神の丘」(岩手県岩手町)は、2002年に国道4号線沿いにオープンした。県内初の野外彫刻美術館と隣接し、年間の利用者数は約40万人に達する。
町の特産キャベツ使い、生産追いつかず
ほんのりキャベツの香りがする「キャベツまんじゅう」は、2015年7月25日に発売を開始した話題の新商品だ。町産キャベツ「いわて春みどり」のパウダーを生地に練り込み、中身はキャベツのイメージに合わせて白あんにしている。さわやかな甘さが好評だ。
価格は9個入りが648円、15個入りが1080円(いずれも税込)。道の駅石神の丘と東北新幹線いわて沼宮内駅ビル内「プラザあい」の2カ所で販売している。
商品化を手がけたのは、道の駅を運営する株式会社岩手町ふるさと振興公社だ。
「町の名刺代わりとなる商品を!」と開発に着手。冬場の「いわて春みどり」キャベツの確保が難しかったこともあり、企画から発売まで約2年かかってしまったたが、苦労の甲斐あって売れ行きは順調だ。
「発売してまだ1カ月足らずですが、『町のお土産にこんな商品がほしかった!』とお客様からも好評です。累計1400箱もの売上を達成しました」(道の駅 石神の丘の担当者)
どんな味のまんじゅうなのだろう。一度食べてみたい――通信販売で取り寄せを希望する人もいるようだが、残念なことにその予定は当面ないという。
「今のところは製造が追いつかないので......申し訳ございません」
かつてはキャベツ出荷日本一の自負
それにしても、なぜ岩手町がキャベツにこだわっているのか。
戦時中、岩手県はキャベツ出荷量が日本一だったことがあり、岩手町は現在も大産地の1つだ。ところが1960年代に害虫が大発生し、さらに大消費地の東京に近い群馬・千葉・茨城・神奈川・長野がキャベツ産地として成長したことで、岩手のキャベツ生産は一時衰退する。
キャベツに替り、短根ニンジン、レタス、トマトなどへの転作が進んだが、地元農家の胸中には「日本の食卓にキャベツを広めたのは自分たちだ」という自負が残っていた。1980年代から再びキャベツ生産熱が高まり、全国的な評価が復活してきている。
この道の駅では、まんじゅうのほかにも、キャベツなどの地元特産品を原料にしたグルメが店頭やレストランに並ぶ。夏の人気商品ベスト3は以下の通りだ。
土産物1位の「キャベ酎」(720ml、税込1296円)は、2005年に販売を開始したところ初回出荷分300本が30分で完売し、1年後に再発売したところ9日間で売り切れた。
塩ダレをベースに岩手町産にんにくを使用したドレッシング「キャベタリアン宣言」(210グラム、同370円)は、化学調味料を一切使用していない。2011年9月末から販売を開始。「月1000本売れればいいか、と思っていた」商品だったが、約3カ月間で約1万2000本を売り上げた。
レストラン部門1位の「ブルーベリーカレー」は、フルーツの甘さとカレー独特のスパイシーさが同時に味わえる。ブルーベリーはもちろん地元で収穫されたもの。あまりの人気ぶりにレトルト食品(同410円)も商品化された。
「キャベツまんじゅう」などの一部を除き、これらのフードは通販サイト「石神の丘でねっと」から注文可能。紹介したもの以外にも個性的な商品が並んでいる。