リアル犬猿の仲? 日本各地で繰り広げられる「モンキードッグ」の戦い
2015.08.10 17:09
ことわざもきっかけ?「モンキードッグ」誕生の瞬間
「モンキードッグ」とは、野生のサルを畑や住宅地から追い払う特別な訓練を受けた犬のこと。その運用方法は自治体によって異なるが、基本的には個々の農家が自分の畑を守るために利用する場合が多いという。そのため、地域住民の飼い犬を利用するのが一般的。中型犬以上であれば、犬種を問わずモンキードッグになることができるそうだ。
農林水産省の調べによると、2013年度までに25都道府県71市町村で、計360頭のモンキードッグが運用されている。そのなかでも、自治体自身がモンキードッグを飼育・運用する青森県むつ市では、サルによる農作物被害が導入前に比べおよそ10分の1にまで減少するなど、とくに大きな成果をあげているそうだ。
まさに「犬猿の仲」といったことわざを絵に描いたような、このモンキードッグ、いったいどのようなきっかけで導入されることになったのだろうか。2005年に全国で初めてモンキードッグを導入した、長野県大町市の農林水産課に話を聞いた。
「ある農家が、飼い犬のリードをサルの前で手放してしまったことが、そもそものきっかけだと聞いています。飼い主の手を離れた犬は、一目散にサルのもとへ......。犬に追いかけられたサルの逃げ方がいつもと違ったそうで、この光景を目撃した当時のうちの担当者が『これは使えるのでは?』と思い、実用化に向け働きかけたそうです」
また、導入までの準備段階では、担当者の間などで「犬猿の仲という言葉もあることだから」といった会話が盛んに交わされていたといい、「言葉遊びではないですが、『犬猿の仲』ということわざも導入への追い風になったことは確かです」としている。
もちろん、大町市でも、モンキードッグを導入して2か月ほどで、周辺地域へのサルの出没数が激減。それに伴い、農作物の被害額も大きく減少したという。