あまりにも黒い! イカスミが海の風味を運ぶ静岡県西伊豆町の「海賊焼」
■イカスミを混ぜた真っ黒い麺!
「河津屋食堂」は、今年で創業90年という老舗の定食屋です。案内してくれたのは、三代目の大矢次夫さん。早速、話題の麺料理を注文します!
その名も「海賊焼」。イカやエビといった海産物とキャベツ、玉ねぎ、にんじん、もやしが黒一色の麺と炒め合わされた西伊豆町のご当地グルメです。 灰色などではなく、完全に真っ黒です。この麺は一体何でできているのでしょうか……?
大矢さん「麺が黒いのは、イカスミが練り込まれているからなんです。それを塩ダレやイカなどの具材で焼いたものが海賊焼ですね」
海賊焼には3つの定義があります。「麺は特製のイカスミ麺を使う」、「タレは特製の塩ソースを使う」、そして「具材にイカを入れる」。すべての条件を満たせば、海賊焼として認められます。
大矢さんによると「うちの海賊焼はオリジナルに近い」のだそう。それでは、味わってみましょう!
焼きたての麺を持ち上げると、イカやエビといった海の幸の香りが湯気とともにふわりと漂ってきます。麺をすすると、口の中でよりいっそう香りと共に旨みが際立ちます!
大矢さん「うちの海賊焼は、香りにこだわっています。具材を全部いっぺんに入れて炒めるのではなく、玉ねぎを少し炒めて、それからイカやエビといった海鮮を入れて…と、香りを引き出すために、炒める過程でひと手間、ふた手間かけているんですよ」
海鮮によく合う塩味も、ただしょっぱいのではありません。特製の塩ソースがコクのある味わいを生み出しています。
そして、麺を噛むと感じられる、練り込まれたイカスミ。魚介の生臭さはなく、でもしっかりと海の風味を感じられる絶妙な加減!
平打ち麺が生む独特の食感も楽しく、結構なボリュームがあるはずなのにさらりと完食。ちなみに、食べても歯は黒くなりませんでした!これなら女性も安心ですね。