「クラウドファンディングで終わるつもりはない」 FAAVOが見据える「地方創生」、その真の目標は?
よそ者が気づいた「地域に眠る価値」
――これまでに実施した中で反響の大きかったプロジェクトは何だったのですか。
八木 金額上で反響が大きかったものの1つは、宮崎県日南市の補助金事業だった飫肥杉(おびすぎ)を使ったプロジェクトです。「obisugi-design」というサイトもあって、木材を使ったオシャレな小物や家具などが掲載されています。その世界展開をプロジェクトとして募り、目標金額を250万円に設定したところ325万円集まりました。地方レベルでこれだけの金額が集まるのは珍しいケースです。
このプロジェクトを起案した人はIターンの人です。商品に惚れ込み「海外に売り込みたい」と勝手に思ったそうです。実際に海外の反響もあった。
もともと行政のカネでやっていたことを、補助金や助成金を使わずに海外で展示会やギフトショーに出展したいと起案者は考えて、周囲を巻き込んで実現させました。
そもそも飫肥杉再活用の補助金事業が始まったのは、植林で杉が増えすぎて間引きしなくてはならなくなり、その使い道を作る必要があったからです。
昔は林業が盛んでしたから、杉の育林が地域のためになると思って祖父の世代が植えたところ、今それが使われずに赤字になって残っている――。その地域に住む高齢者の気持ちをどうするのかというときに、obisugi-designが現れ、共感が生まれたのです。