桃太郎でおなじみ「きびだんご」はどこで食べられるのか?
同じきびだんごでも「黍団子」と「吉備団子」は別物だった
家に帰ってパッケージ裏の説明書きを読むと――同じきびだんごでも、こちらの商品は地名の吉備をとった「吉備団子」となっている。同音だけど漢字が違う......どっ、どういうこと?
黍団子は穀物の「黍」の粉から作った団子で、日常の食べ物として室町時代には存在していた。
これに対して吉備団子は、江戸時代末期の安政3年(1856年)頃に、和菓子屋の廣榮堂の祖先たちが考案した。当時の備前岡山藩主からも認められ、地域ブランドとしては申し分ない。
廣榮堂は廣榮堂武田と廣榮堂本店の2つに分かれて現在に至るが、1912年以来の登録商標は前者が所有している。筆者が購入したのもこちらの商品だ。
箱の大きさは横210ミリ×縦90ミリ×高さ20ミリで、少し大きめのペンケースくらいのサイズ。この中にだんごが10個入っている。
主な原材料は国産もち米、国産きび粉、水あめ、砂糖、麦芽糖、でんぷん粉、トレハロースなど。
このうちトレハロースは天然糖質で、食品添加物の規制が厳しい欧米でも食品への利用が認められている。岡山の企業・林原が安価に大量生産することに成功、海外市場での拡販を目指している。
岡山のきびだんごがもちっとした柔らかさを長期間保てているのは、トレハロースを使用しているから。このことを岡山県人は誇りに思っていい。
手に取ってみると......確かに弾力性があり、繊細な赤ん坊の肌を触っているような感覚だ。まぶしてある粉の量が多いのはご愛嬌。
甘さはごくごく控えめだけれども、逆にいえば虫歯が気になる人でも許容範囲なのではないか。
医学的根拠はなく、筆者の独断なのは言うまでもない。
爪楊枝の類は添付されていないが、手づかみで食べるのも桃太郎っぽさがある。周囲に粉が散らばるので、濡れティッシュなどを用意しておいた方がいいだろう。
黍と古代日本の地方国家「吉備国」(岡山県全域と広島県・兵庫県の一部が勢力範囲だった)の関連性は不明だが、きびだんごが岡山を代表する銘菓なのは間違いない。