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松本市の大型イオン計画で見えた、「イオン」「商店街」「郊外店」の三角関係

Jタウンネット編集部

Jタウンネット編集部

2014.06.17 16:48
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長野県松本市中央にある大型商業施設「松本カタクラモール」はイオン東松本店を核テナントとする商業施設。イオンは一帯を再開発して、現在の約3倍の規模の施設を2016年秋にオープンさせる計画を市に示した。開発後の店舗面積は約4万1000平方メートルで、県内のイオンモールでは佐久平を上回る最大規模となる。

新モールが渋滞を悪化させる!?

計画の具体的な内容は、2014年6月13日に開催された市議会経済環境委員協議会で明らかになった。

松本は城下町特有の狭あいな一方通行が多く、市内は渋滞が慢性化している。市側が懸念しているのは、渋滞の悪化と隣接する市中心部の商店街にダメージを与えないかという点だ。

松本城(SteFou!さん撮影、Flickrより)
Matsumoto-jo

市は、国宝松本城をランドマークに中心市街地を丸ごとモールにする計画を進めている。(できるだけ)マイカーではなく徒歩や自転車で回遊してもらおうという考えだ。そのため外堀跡に建てられた宅地を立ち退かせて外堀を復元させたり、幕末の街並みを再現する事業を進めたりしている。

再開発予定地は蔵づくりの建物が並ぶ「中町地区」に隣接している。イオンは従来のモールとは一線を画す「観光型モール」の建設を表明していたことから、その具体的内容に市や商工関係者は関心を寄せていたが、店舗の規模は関係者が想像していた以上だった。

郊外/ロードサイドに客足は移り...

しかし地元商店にとっての脅威は、同じ中心部のイオンだけではない。というのも、商業の中心はすでに、郊外/ロードサイトに移っているからだ。2007年の小売業年間販売額は郊外/ロードサイドが約1563億円だったのに対し、中心部は700億円にすぎなかった。

駅前は地場の井上百貨店本店をはじめ、松本パルコ、アリオ松本などが店を構える。しかし、アリオ松本を除けばファミリーが1日楽しめる店とはいえなくなっているし、中心部の駐車場は不足し渋滞も激しい。

これに対して郊外のチェーン店は、無料駐車場を備え、さらにローコストオペレーションの結果として低価格を売りにしている。買い物客がわざわざ郊外に足を運ぶ理由がここにある。大きくなった企業は例外なく業務の効率化に成功している。地元商店が直面する大きな課題だ。

巨大モールに客を持って行かれるかもしれないが、しかしこのままでは郊外への流出も止まらない――イオン、地元商店、郊外店、まさに三角関係のジレンマだ。

現在のカタクラモールも地元商圏を押さえており平日昼間でも結構賑わっている。市のコンパクトシティ構想には不可欠の要素であることには間違いない。新しくできるモールも組み合わせ次第では地域活性化につながる施設となり得る。例えば、外部からやって来る観光客が車を駐車し、そこから中心部まで歩きながら蔵造りの街並みを楽しむ――というモデルも考えられなくない。

市のビジョンとイオンの建設計画をすり合わせる過程で、道路インフラを含めた解決法が見つかれば、地域住民にとってより望ましい街に発展していく可能性はある。20万人クラスの都市の中では全国トップクラスの賑わいを維持している松本。都市計画の行方を全国が注目している。

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