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ゆるキャラの著作権が危ない!? ふじ君問題で露呈した「契約ゆるすぎ」問題

Jタウンネット編集部

Jタウンネット編集部

2014.06.13 14:01
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山梨県警察は、富士山をモチーフにした顔に警察官の制服姿をした「ふじ君」を、24年ほど前からマスコットとして使用している。市民の間でもすっかり定着した感のあるキャラクターだが、地元の男性デザイナーから「私の著作権を侵害している」として使用中止と損害賠償の訴えを起こされている。

山梨県警察ふじくん安全安心マップのウェブサイト
山梨県警察ふじくん安全安心マップのウェブサイト

県警がデザイナーから訴えられたのには訳がある。ふじ君は1986年に開催された「かいじ国体」開催時に生まれたマスコット「ふじくん」がベースになっており、そのデザインを手がけたのが男性デザイナーだったからだ。県警の言い分は「ふじくんの原案を出した人=原作者の了解は得ている」というもの。男性デザイナーは作品を仕上げたにすぎないという見解だ。

原作者は一般公募の中から選ばれた人で、原告はその審査員だったというからさらにややこしい。

マスコットの著作権争いは今後も増える?

自治体発のご当地キャラの場合、原案は一般人の中から採用するけれども、販促物等で使用するデザインはプロのイラストレーターが仕上げるケースは少なくない。

ご当地キャラが増えすぎ!という声はあちこちで聞かれるが、大きなイベント開催に合わせたキャラクターづくりは昭和の時代から珍しいことではなかった。

今でこそ著作権の理解が進み、募集の際の応募要項や採用時における使用許諾契約は詳細なものになったが、ひと昔前までは口約束も珍しくなかったに違いない。

「ずいぶん昔の作品だし、当事者も覚えていないだろう」とコンテンツを使用する側は考えがちだが、著作権の保護期間は驚くほど長い。原則として著作者が著作物を創作した時点から著作者の死後50年までとなっていて、TPP交渉の成り行き次第では70年に延長される可能性もある。さらに著作権侵害行為は、権利者が訴えを起こさなくても警察が捜査に動ける「非親告罪」になる可能性が高まっている。

ぐんまちゃんも実は...?

ゆるキャラの著作権問題は、ふじ君に限った話ではない。

群馬県公式マスコット「ぐんまちゃん」もまた、1983年の「あかぎ国体」のときに漫画家の馬場のぼるさんによってデザインされ、その後県のマスコットに「転職」した(初代)。ふじ君と同じパターンだ。ただこちらは、県職員がデザインした2代目ぐんまちゃんにバトンタッチ、著作権も県に移っている。ご当地キャラブームが来る前に手を打った群馬県の判断は賢明なものだった。

またとある東日本の自治体では、有名デザイナーに依頼してマスコットを作ったものの、著作権の都合上扱いが難しく、結局縛りのゆるい民間キャラを準マスコットとして露出させているのだとか。

さて今回の紛争は、果たしてどう決着するのか。県警の対応に腹を立てた原告が裁判を起こしたところをみると、お金の問題ではなさそうだ。

県警のふじ君が登場してから20年以上も経過している。原告の言い分が正しいなら侵害行為は当時からあったわけだ。両者の間で話し合いの場は幾度ももたれただろうが、もっと早めに決着をつける手立てはなかったのだろうか。

マスコットは、その所属団体、そして生みの親だけでなく、それに親しむ一般の人々のための存在でもある。県民が置き去りにならない形での解決を期待したい。

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