「和」を知り尽くした大将が腕をふるう 曙橋の隠れた名店「魚亭かみや」【東京】
働き盛りの人たちに「旬の味覚」を味わって欲しい
一姫二太郎に恵まれた後、西独デュセルドルフのドイツ日本館2階に、当時初のカラオケパブ「カトレヤ」のオープンに協力したのを置き土産に、1978年の暮れに家族と日本に戻ってきた。「英語は私でもできたけど、日本語は難しいから」と、子どもたちが小さいうちに日本語に触れさせたい、というのが動機だったそうだ。
帰国後は、「赤坂きくみ」の新宿三井ビル店、霞ヶ関店を経て、1987年に42歳で独立。新宿歌舞伎町、風林会館の地下に「グルメ倶楽部きく林(キクリン)」を創業した。
おしゃれな料理中心だが、場所柄深夜までカラオケができるというスタイルで大手企業のサラリーマンなどで賑わった。1993年に同じ歌舞伎町で本格的な割烹料理店「日本料理かみや」を創業するもバブル崩壊などもあって移転を決意。そして2000年、「魚亭かみや」として曙橋に移転し、現在に至るというわけである。
移転後は企業のオーナー社長が訪れることが多いというが、弟子たちや美しい器とともに、新しい客層を開拓したいと考えている。
「日本の豊かな四季をこんなに取り入れている料理は、日本料理だけなんです。うちは少量でもその土地にしかないもの、東京でもなかなか買えないもの、たった2~3週間しか味わえないものでも、旬のタイミングで手に入れることができる。働き盛りの30代から40代のビジネスマンたちに、そんな日本料理の魅力を知ってもらいたいですね」
日本酒はもちろん、日本料理に合うワインを揃えたワインセラーも置いている。日本料理の最良の伝統を引き継ぎつつ、新しい美味を追求しつづける料理人の「仕事ぶり」を、いつか味わってみてはいかがだろうか。