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「干物にしか見えない」と噂の〝魚のミイラ〟 どういう存在?渋谷・古代エジプト美術館に聞く

福田 週人

福田 週人

2026.03.02 16:00
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東京・渋谷の「古代エジプト美術館」に展示されている1つのミイラが、X上で注目を浴びている。

どんなミイラか。魚のミイラだ。

魚のミイラ(画像はいつき@eki_itsukiさんの投稿より)
魚のミイラ(画像はいつき@eki_itsukiさんの投稿より)

Xユーザーのいつき(@eki_itsuki)さんは、この魚のミイラをみて、あるものを思い出したらしい。たぶん、多くの読者も同じものを思い出したのではないかと思う。

そう。干物だ。干物に似すぎているのだ。

X上でも大きな共感を集めたのだろう。いつきさんが「干物じゃないよミイラだよ」と呟きつつ投稿した魚のミイラの写真には、2万9000件を超えるいいねが寄せられている(『「干物じゃないよ」 渋谷・古代エジプト美術館の〝魚のミイラ〟に2.9万人困惑「良いお出汁とれそう」』)。

「魚のミイラ」と「干物」の間には、どんなちがいがあるのだろう。古代エジプト美術館に聞いた。

魚のミイラ、どうやって作る?

取材に応じた古代エジプト美術館・館長の菊川匡さんによると、「魚のミイラ」は数年前にヨーロッパのコレクションから取得したもの。

記録が残っていないため正確な発掘場所や年代については「確定はできません」。ただ、エジプトのミニヤー県にある古代エジプト遺跡「オクシリンコス」で発掘されたものである可能性がとても高いという。

「魚のミイラ」(写真提供:古代エジプト美術館)
「魚のミイラ」(写真提供:古代エジプト美術館)
「オクシュリュンコス(オクシリンコス)ではこれまで、約5万匹、長さ6メートルに及ぶ魚ミイラの供物層が発見されている。当時、魚は神聖視され、神への供物・儀礼的存在として埋納された。包帯(リネン)とハルファ草(乾燥用の植物)を層状に重ねて保存していた」(菊川さん)

どうやら「魚のミイラ」は、神様へのお供え物として扱われているものだったようだ。それにしても5万匹って......凄すぎる。

「魚のミイラ」(写真提供:古代エジプト美術館)
「魚のミイラ」(写真提供:古代エジプト美術館)

菊川さんは、「魚のミイラ」がどのようにして作られていたと考えられているかも、教えてくれた。

手順としては、まず開腹して内臓を除去した後、塩を使って40日間にわたり脱水。それを酢で洗浄、乾燥させ、ホホバ油や没薬といった香油・軟膏を塗布する。ただ、「大型魚は内臓除去(開腹)されたが、小型魚は未処理のまま乾燥されていた例もある」。

さらに、腹腔内にクエン酸や重曹などの吸湿・防腐用の混合物を充填させてからリネン包帯で巻き、最後に蜜蝋(ビーズワックス)で表面をコーティングして完成だ。

そう聞くと、干物とはかなり違うものであることが分かる。ちなみに古代エジプト美術館に展示されている「魚のミイラ」は、包帯を取ってある状態とのこと。

魚のミイラ、食べられる? 館長さんに聞いてみた

ところで、古代エジプト美術館の公式Xアカウント(@Eva19kyHHT9uDyj)は23年6月25日、こんな呟きを投稿していた。

「当館ファウンダーの菊川は、いわきでメヒカリいただいたようです! 美味!
古代エジプトのお魚のミイラに似ているとか似ていないとか」
メヒカリの干物(画像は古代エジプト美術館の公式Xより)
メヒカリの干物(画像は古代エジプト美術館の公式Xより)

美術館側としても「魚のミイラ」が干物っぽいという認識はあるようだ。

ただ、食べることができるかどうかについて、菊川さんはこう断言した。

「もちろん、食べられません」

そりゃそうだ。

読者の皆さん、くれぐれも「魚のミイラ」で出汁を取ろう、などとは考えないように。

ミイラ喰いはミイラに、なっちゃうかもしれないぞ。

古代エジプト美術館

所在地 :東京都渋谷区神南1-12-18 メゾン渋谷801
アクセス:JR渋谷駅ハチ公口より徒歩5分、神南郵便局前交差点
開館時間:正午から午後6時(入館は午後5時30分まで)
開館日:土曜・日曜(年末年始は休館)
入館料:一般1500円、大学生1200円、高校生以下1000円
公式サイト:http://www.egyptian.jp/
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