「こどもまんなかアクション」が〝日本がよくなる原動力〟に こども家庭庁主催「こどものまわりのおとなサミット」
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ここが自分の居場所だ――そう感じられる場所があることって、本当に大切だ。
コミュニティの種類はなんであっても、安心できる場所があるおかげで楽しく生活できていると感じている人も多いだろう。
そんな場所を、子供たちのために作ろうとする大人たちが、全国にいる。
2025年2月6日、こども家庭庁が主催した「こどものまわりのおとなサミット」に、各地で子供の居場所づくりや社会参画のサポートを行う6団体が集結した。
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「こどものまわりのおとなサミット」は、「こどもまんなかアクション」を広げていくためのさらなるきっかけになれば、との考えで開催されたイベント。
「こどもまんなかアクション」とは、「こどもや子育て中の方々が気兼ねなく様々な制度やサービスを利用できるよう、地域社会、企業など様々な場で、年齢、性別を問わず、全ての人がこどもや子育て中の方々を応援する、社会全体の意識改革を後押しする取組」だ(こども家庭庁公式サイトより引用)。
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この日、東京・世田谷区立希望丘青少年交流センター(アップス)に集まったのは、ふだんはそれぞれの地域で子供のための活動を行っている「こどもまんなか応援サポーター」団体。
北海道安平町の「あびら教育プラン」、埼玉県草加市の「草加市子ども会育成者連絡協議会」、東京都千代田区の「一般社団法人 HAKKEN」、山梨県山梨市の「NPO法人 WakuWakuの家」、滋賀県長浜市の「長浜こどもまんなか」、香川県善通寺市の「認定NPO法人 子育てネットくすくす」の代表者が、それぞれの活動内容を発表し、意見を交わした。
子供たちの居場所を作る、とは
「日本一の公教育を目指すまち」北海道安平町で行われている社会教育事業「あびら教育プラン」は、小学校5年生から中学校3年生を対象にした放課後教室「あびらぼ」などを開催。学校や家庭では掘り下げないものの身近なテーマについて学んだり、町外に飛び出して空港で外国人にインタビューしてみたりするなど、様々な学びの機会を提供する。
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また、全町民を対象に遊びの場と機会を提供する「遊育」、子供たち自身の興味関心に基づいた挑戦をサポートする「ワクワク研究所」、小学校高学年から大人を対象に〝オフライン版クラウドファンディング〟(挑戦したいことをプレゼンし、賛同すれば町民サポーターからの支援の機会を得られる)の場を提供する「ABIRA Talks」なども彼らのプログラムだ。
滋賀県長浜市の「長浜こどもまんなか」も、高校生と大学生向けのサードプレイス「itteki」で彼らの挑戦をサポートしている。
「何をしてもいい場所」であり、遊ぶのも、勉強するのもOK。高校生や大学生がやりたいことをみつけ、それを実現することを応援するための場所、好きなことに自由に取り組める場所として運営されている。代表の中井健太さんはittekiについて「サービスを提供する場所ではなく、(利用者が)自分たちで作っていく場所」と表現していた。
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その言葉通り、毎日のように訪れる利用者や、この場所の存続のために地元の祭りに出店して売り上げを市に寄付する高校生たちがいるなど、彼らの「居場所」として親しまれているようだった。
中学生や高校生、大学生たちが主体となって「居場所づくり」取り組んでいるのは、草加市子ども会育成者連絡協議会も同じだ。
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同会の事業は中高大学生のリーダーと呼ばれるボランティアが中心となって企画運営。2006年には当時のリーダーたちが、子ども会のなくなってしまった地域の子供たちを対象とした組織「草加市子ども会」を立ち上げ、様々な活動を行っているという。
「ともに過ごす」ができるということ
「WakuWakuの家」や「子育てネットくすくす」では、〝子育て〟や〝親〟も重要なキーワードだ。
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「WakuWakuの家」では、古民家をつかった民間の学童やフリースクールを運営し、異年齢の子供たちが混ざり合うインクルーシブな居場所を提供。それに加えて、子育ての悩みを抱える親たちの交流の場、様々な世代との交流の場として、地域コミュニティの食堂「WakuWaku食堂」も展開。地域の人に「助けてもらう」という形で始めたが、今では地域の人たちにとっても楽しみのひとつになっているそう。
「子育てネットくすくす」の活動は、地域子育て支援施設「子育て広場」や、児童や中高生のための放課後等デイサービス、子ども食堂やひとり親等生活困窮家庭への食糧支援、不登校などの居場所支援など多岐にわたる。
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それは、子供たちの幸福のためには「親子を中心とした家族全体への支援が必要である」という前提に立っているからだ。彼らは、住民同士の支え合いと学び合いに基づく地域子育て環境づくりを目指している。
2つの団体には、どんな子供たちもともに過ごすことができる場所を作りたい、という思いも共通していた。
ダウン症のある子の親の会「NPO法人アクセプションズ」に所属する鈴木英莉那さんが立ちあげに携わった団体「一般社団法人HAKKEN」の活動も、〝ともに過ごす〟状態を生み出すものだ。
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「障がい者福祉をみんなのものに」をミッションに活動中の同団体では、「地域住民が気軽に遊びに来るマルシェで知的障害のある人たちが働く世界を創る」として年に2回「SJEマルシェ」を開催したり、障害のある人と社会を繋げる交流イベントを開催したり、多様性組織の作り方を考える研修プログラムを実施したりといった取り組みを行っているという。
子供のための活動を行っていると一口に言っても、各団体のアプローチははそれぞれ異なる。
しかし、共通していたのは子供たちの声を尊重し、彼らが安心して〝居る〟ことができる場所を作ろうとしていること。それが子供たちだけでなく、周りも巻き込んで広がっていっていること。
発表会に参加していたこども家庭庁成育局成育環境課長であり、こどもまんなかアクション推進室長も務める安里賀奈子さんは会の最後に、各地で生まれているそんなムーブメントについて、「子供の声さえ聞く社会は大人の声だって聞く社会だし、絶対に日本全国がよくなる原動力になると思っています」と述べた。
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「子供のための居場所って目指して作ったものが、活動している大人の居場所になったり、ちょっと上の世代の居場所にもなったりする。
地域にいろんな、多様な〝居場所〟が豊かにあって、子供たちが好きなところに行ける。その場所ではちゃんと子供の声が聞かれて、躾じゃない。
そうすると、(発表会参加者の)皆さんの活動に参加されているお子さんがそうであるように、目が輝いていって、その輝きを見ると、大人たちも元気になる。
この素敵な循環をきっと作り出していけるな、と今日すごく嬉しく思っています」(こども家庭庁・安里賀奈子さん)