高知県産「食べられる緩衝材」注文してみた結果... 箱の中で待ち受ける「守り合い」にホッコリ
Jタウンネット記者の朝は、日本全国のユニークなご当地情報を探すことから始まる。
その日は、「高知県物産データベース」をチェックしていた。
高知県地産外商公社が運営する高知県産品を紹介するウェブサイトなのだが......そこで、気になるページに辿りついた。
「食べられる緩衝材(ポップコーン)」......とは?
いや、読んで字のごとくなのだろうが、どうしてこうなった? なぜ、ポップコーンを緩衝材に?
わけが分からないまま通販でこの"緩衝材"を注文してみたところ、届いたのが、コレだ。
ダンボールの中に詰め込まれた、ポップコーン、ポップコーン、ポップコーン。
「食べられる緩衝材」を注文したのに、キャラメルポップコーンも入っていた。
これ、「食べられる緩衝材」でキャラメルポップコーンを守っているな......。
緩衝材としての実力は?
さて、この「食べられる緩衝材」。緩衝材としての機能はいかがなものか。
記者は試しに段ボールの中にガラス食器を入れ、振り回してみた。
果たして、食器の運命はというと―――無傷! 緩衝材としての機能は申し分なさそうだ。
では、「食べられる」の部分。つまり、味はどうなのか。
食べてみると絶妙な塩加減!! コーラ!コーラをちょうだい! と叫びたくなった。
編集部員にもおすそ分けしてみるとこんな感想が。
「塩味が強いので夏の映画を観ながら食べたい」
「なつかしさを感じる味です」
緩衝材としても、おやつとしても、素晴らしい商品であるらしい。
どうして、ポップコーンは緩衝材になったのか。記者は、製造者のあぜち食品(高知県高知市)に話を聞いた。
ふとした会話がきっかけで2度の大バズり
取材に応じてくれたあぜち食品の代表取締役 和田しほこさんによると、同社では元々、ネットショップで商品の豆菓子や石チョコを購入した顧客に、商品PRとしてポップコーンを入れていた。
それを緩衝材として売り出すきっかけになったのは、そのことを知った友人のこんな発言だったという。
「このポップコーンって緩衝材に似てるね」
その後、和田さんはポップコーンに「食べられる緩衝材」と書いた手作りシールを貼り、「緩衝材として弊社で作っているポップコーンをいれています。ご一緒にどうぞ」と書いたメモを添えて発送するようになったという。2015年のことだった。
すると16年、Twitter(現・X)に「食べられる緩衝材」を投稿した購入者が現れた。
そのツイートは4万回近くリツイートされ、テレビにも取り上げられ注文が殺到!
手作りシールと手書きメモでは物理的に作業が追い付かなくなり、「食べられる緩衝材」専用のパッケージを作ったところ、今度は18年にその専用パッケージが大バズり。5万件近いリツイートだったという。
そんなこんなで定期的にSNS上で注目を浴びる商品となった「食べられる緩衝材」。
現在は「コーチ」のカバンなどを郵送する際の緩衝材としても、活躍しているんだとか。
コーチと言っても「Coach」ではない。「高知」である。
高知を愛し、高知の真価と魅力を世界中に拡げるべく、高知の自然や特産物をモチーフにグッズを開発している「ブランド高知」。同ブランドのバッグや財布には一面に「高知」の文字がデザインされている。
それが、ポップコーンに包まれて、届くのだ。
「高知で生まれた、ユーモアアイデアの最強のコラボとして、ひそかな人気を博しています」(和田しほこさん)
緩衝材とは本来は隙間を埋めるだけの存在である。
しかし、高知県民のユニークなアイデアによって心とお腹の隙間まで埋めてくれる存在に、進化したのだ。