「電車を間違えた結果、何故か〝ヤン車〟に乗ることに。小6の私は見知らぬお姉さんの勢いに押されて...」(東京都・40代男性)
シリーズ読者投稿~あの時、あなたに出会えなければ~ 投稿者:ケンジさん(東京都・40代男性)
京都出身のケンジさんは、小学生の時に電車の旅を計画した。
といっても乗り換えは一度だけ。それも成功したと思い、のんびり座席に座っていたのだが......。
<ケンジさんの体験談>
小学6年生の夏休み、生まれ故郷である京丹後市から京都市内のおばの家に、一人で電車を乗り継いで遊びに行く計画を立てました。
当時だと3時間ほどかかる道のりでしたが、電車の乗り換えは一度だけ。
直通列車の始発駅に時間に余裕を持って到着し、やってきた電車に乗り込んだのですが......。
向かいのおじいさんの言葉に大慌て
空いている4人掛けの席に座り、電車が動き出しました。
あとは京都駅まで景色でも眺めて......と思っていると向かいに座っていたおじいさんが「一人で偉いね」と話しかけて来ました。
「どこまでいくの?」と聞かれたので京都と答えると、おじいさんはこう仰ったのです。
「京都行きは違う車両だよ!」
実は、乗り込むはずの特急列車は上りと下りで切り離されて発車するタイプのもので、私は見事に逆の、元来た方へ戻る普通列車に乗っていたのです。
慌てふためく私におじいさんは、次の駅で降りて駅員さんに説明するよう促しました。
すると、そのやりとりを後ろで聞いていた25歳くらいの女性が突然立ち上がり、「この電車、京都方面へ行かないのですか?!」と大慌て。
どうやら仕事で出張らしく、電車の説明を聞いて私と同じく次の駅で降りることになりました。
流れでヤン車に乗ることになり...
ほどなく到着した次の駅では2人で改札へ行き、事情を説明。次の駅へ戻り、特急に乗っても良いということになりました。
しかし、そこは田舎のダイヤ。次の特急は2時間以上後にならないと来ません......。
とりあえず駅の外に出ると、先程のお姉さんがなにやらキョロキョロ。そして、一台の車を見つけると、運転手の方に何やら話しかけにいきました。
そして、こちらを振り返ると、「ねえ!乗せてってくれるって!行こ!」と言うではありませんか!
しかし私は躊躇しました。
まだ12歳の子供でしたし、何より、お姉さんに乗ろうと言われているそのクルマが、いわゆるちょっと怖いお兄さんの乗りそうなヤン車の様相だったからです......。
ただ、結局お姉さんの勢いに飲まれ、2人で乗り込むことに。
行き先は本来乗るべきだった特急列車の次の停車駅。
車は猛スピードで近道とされる山道を走り抜け、車内では右に左に揺られて生きた心地がしなかったのをよく覚えてます。
お姉さんが震えながら...
車は20分ほどで目的地に到着しました。
車を降りる際、お姉さんが震えながら「ありがとうございました、これ、少しですがお礼です」と千円札を2枚差し出したので、子供ながら私も財布を取り出したのですが、運転手のお兄さんは笑いながら「いらないよ!間に合って良かったね!」と言って走り去っていきました。
そして私達はホームへ駆け上がり、見事本来乗るはずだった特急列車に乗り込むことが出来たのです。
お姉さんとはそこからは行き先が別々だったのでろくにお礼も言えずに別れましたが、おかげで無事に予定通り京都へ着くことが出来ました。
小さな私を助けてくれたおじいさん、お兄さん、そして何よりあのお姉さんに今でも感謝しています。
誰かに伝えたい「あの時はありがとう」「あの時はごめんなさい」、聞かせて!
名前も知らない、どこにいるかもわからない......。そんな誰かに伝えたい「ありがとう」や「ごめんなさい」を心の中に秘めている、という人もいるだろう。
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