なにを表現しているの...? 駅前広場にそびえ立つシュールな「おしりタワー」、こめられた意味とは
阪急神戸三宮駅前のサンキタ広場には、「お尻のタワー」がある──2024年1月、Jタウンネット記者はX上でそんな投稿を目にした。
「お尻のタワー」って、どういうことなの......。気になる実際の写真が、こちらだ。
こちらは、神戸市在住のXユーザー・さかなかもしれない(@yumesakana)さんが2024年1月18日に投稿した写真だ。
ビルに囲まれた人通りのある夜の街並み。そこにそびえ立っているのは、奇妙な形のタワー型のモニュメントだ。
人間のお腹から太もも辺りにかけてまでの部分だけが積み重なっている。中でも目を引くのは、立体感のあるお尻の部分。たしかにこれは、「お尻のタワー」だ......。
一体誰が何のために設置したものなのだろう。記者は1月22日、まずは投稿者であるさかなかもしれないさんに話を聞いた。
「恥ずかしい」から「愛着」に
さかなかもしれないさんが「お尻のタワー」を撮影したのは1月18日の18時頃のこと。
前日に広島駅前にある「お尻に似た形の噴水」が再開発のために撤去されてしまったというニュースを見て、神戸にもお尻の形のモニュメントがあったことを思い出したのがきっかけだった。
「(三宮駅前の)広場のリニューアル後にもお尻のモニュメントが存在し続けているのかどうか記憶が定かでなかったので、実際に撮りに行った次第です」(さかなかもしれないさん)
その後、さかなかもしれないさんが友人と一緒にこのモニュメントについて調べたところ、震災復興と慰霊の意味を込めたものだということが判明したそう。
それを踏まえ、さかなかもしれないさんはこのモニュメントについて
「他県の人に見られるのが恥ずかしいな......という気持ちが薄れ、愛着の方に変わりました。撮影後も再度改めて見に行き、インパクトのある形だなという感想は変わらずですが、新たな見方のおかげでカッコ良さも感じられるようになれて良かったです」
と語っている。
このモニュメントの詳細について、記者は3月5日、神戸市にも話を聞いた。
「不屈の精神で立ち上がる姿」
取材に応じた同市文化スポーツ局文化交流課の職員によると、「お尻のタワー」の正式な名称は「AMORE(アモーレ)」。
2006年に彫刻家の新谷琇紀さんによって制作され、サンキタ広場に設置された。
兵庫県商店連合会の依頼により、阪神・淡路大震災の震災復興彫刻として作られたものだという。
記者が改めて「AMORE」に込められた意味について聞くと、同課職員は「あまり資料が残っていない」としつつ
「過去の資料には、阪神・淡路大震災で両親を亡くした作者がこの作品を通して表現しようとしたのは『不屈の精神で立ち上がる姿』、という記載がありました。人間の体をモチーフに、地上から高みへ上る人物をイメージして制作した、とのことでした」
と説明した。
一見、シュールに思えるこのモニュメント。しかし、そこに込められた意味を知ると、また見え方が違ってくるのではないだろうか。