佐賀・唐津の「鶴街灯」が美しいと話題 マジックアワーの薄明照らす「目」に魅入られる
「舞鶴城」がある唐津の美しい建築
この街灯について記者が唐津市役所に問い合わせると、都市計画課の担当者が恐縮しながら答えた。
「鶴をモチーフとした街灯の竣工は、1996年です。今から20年以上も前のことで、なぜ鶴のオブジェにしたのか、記録も残っておらず、当時のことを知っている担当者もいないため、詳細ははっきりしませんでした」(唐津市役所担当者)
ただ、唐津のシンボルでもある唐津城は、別名「舞鶴城」と呼ばれ、城から左右に広がる砂浜は鶴が翼を広げたように見えると言われている。唐津市民にとって、鶴は親しみやすい動物だ。
担当者は想像する。鶴の街灯が造られたのには、そんな背景があったのかもしれない、と。
記者の頭にも、勝手な想像が湧き上がった。
ここ唐津は、日本の近代建築の祖とも言える、辰野金吾博士の出身地である。あの東京駅をはじめ、日本銀行本店など、今や文化財となった様々な建築物を手掛けた人物だ。
唐津市内には、弟子の田中実が「辰野式」を採用して設計した旧唐津銀行が残されており、クイーン・アン様式建築の優美なデザインを見ることができる。
様式は違うとはいえ、建築物に対する審美眼の高さは脈々と受け継がれているのかもしれない(あくまでも記者の妄想に過ぎないが......)。
唐津城を見学し、旧唐津銀行本店を訪ね、夕暮れ時に鶴街灯を眺める、そんな旅もいいかもしれない。