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佐賀・唐津の「鶴街灯」が美しいと話題 マジックアワーの薄明照らす「目」に魅入られる

松葉 純一

松葉 純一

2024.01.26 18:00
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とあるXユーザーが2024年1月15日に投稿した、次のような写真が注目を浴びた。

「Mei 街角の照明」(@m_light_00)さんの投稿より
「Mei 街角の照明」(@m_light_00)さんの投稿より

夕闇の中に灯る街灯のようだが、様子がなんだかおかしい。妙にくねっと曲がっている。こんなに曲がった街灯って、見たことあるだろうか。

投稿者・Mei(@m_light_00)さんは写真に、こんなコメントを添えていた。

「唐津の鶴街灯」

なるほど、鶴を模した街灯だったというワケだ。

唐津といえば、九州の佐賀県、玄界灘に面した港町だが、なぜこんな街灯があるのだろうか。

Jタウンネット記者は、投稿者・Meiさんと唐津市役所に話を聞いた。

マジックアワーの点灯に反響

MeiさんのX上のプロフィールには、「全日本TL街灯普及委員会会長」とある。街中の街路灯やトンネル、その他の照明の写真を投稿する、無類の街灯好きということだ。

取材に応じた本人は、投稿した写真は佐賀県唐津市の町田大橋、唐津駅南口からすぐの場所で、2024年の1月14日の夕方に撮影したと説明する。

「夕方のマジックアワーと、街灯が点灯する時間を狙いました。 街灯のランプがちょうど鶴の目に見えるような角度を狙って撮影しました。 橋の高欄と街灯を合わせて見ると、鶴が羽を広げているように見えます」(「Mei 街角の照明」さん)

確かに、ひときわ明るい電球部分は、鶴のオメメのようにも見える。さらに微妙に伸びたクチバシ、絶妙なフォルムを見せる長い首など、なんともしなやかだ。

「Mei 街角の照明」(@m_light_00)さんの投稿より
「Mei 街角の照明」(@m_light_00)さんの投稿より

美しい街灯に心を打たれた人も多く、Meiさんの投稿には5800件を超える「いいね」(1月23日時点)のほか、こんな声も寄せられている。

「あまりの美しさに思わず見入ってしまいました... 空の色も街灯が一番美しく見える時間帯だなと思いました。素敵な街灯」
「駅の近くの橋のところですかね? 地元なので、あー!!!となりました」
「唐津にこんな街灯が...!」
「素敵ですね。どなたのデザインでしょう?」

「舞鶴城」がある唐津の美しい建築

この街灯について記者が唐津市役所に問い合わせると、都市計画課の担当者が恐縮しながら答えた。

「鶴をモチーフとした街灯の竣工は、1996年です。今から20年以上も前のことで、なぜ鶴のオブジェにしたのか、記録も残っておらず、当時のことを知っている担当者もいないため、詳細ははっきりしませんでした」(唐津市役所担当者)
「Mei 街角の照明」(@m_light_00)さんの投稿より
「Mei 街角の照明」(@m_light_00)さんの投稿より

ただ、唐津のシンボルでもある唐津城は、別名「舞鶴城」と呼ばれ、城から左右に広がる砂浜は鶴が翼を広げたように見えると言われている。唐津市民にとって、鶴は親しみやすい動物だ。

担当者は想像する。鶴の街灯が造られたのには、そんな背景があったのかもしれない、と。

唐津城(PhotoACより)
唐津城(PhotoACより)

記者の頭にも、勝手な想像が湧き上がった。

ここ唐津は、日本の近代建築の祖とも言える、辰野金吾博士の出身地である。あの東京駅をはじめ、日本銀行本店など、今や文化財となった様々な建築物を手掛けた人物だ。

唐津市内には、弟子の田中実が「辰野式」を採用して設計した旧唐津銀行が残されており、クイーン・アン様式建築の優美なデザインを見ることができる。

今は辰野金吾記念館となっている旧唐津銀行(PhotoACより)
今は辰野金吾記念館となっている旧唐津銀行(PhotoACより)

様式は違うとはいえ、建築物に対する審美眼の高さは脈々と受け継がれているのかもしれない(あくまでも記者の妄想に過ぎないが......)。

唐津城を見学し、旧唐津銀行本店を訪ね、夕暮れ時に鶴街灯を眺める、そんな旅もいいかもしれない。

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